仮想通貨(暗号資産)に関する税制改正の必要性

仮想通貨の税金

仮想通貨(暗号資産)については税制改正の必要性があるといえます。

日本の仮想通貨に関する税法は、非常に厳しいものとなっていて、このままではブロックチェーンやNFTの分野で、海外に対して後れを取ることになってしまうかもしれません。

個人に対して雑所得に対して課税される場合の税率が高すぎることや、法人の期末時価課税の問題を解決しないと、人材が国外に流出するおそれがあるでしょう。そうなると、その人が将来日本に支払うべきであった税金も他国に流れることになりますし、その人が外国で起業して成功したとしてもそれは外国法人なので日本にとってのメリットがないので、人材の海外流出は日本にとっても損失であるといえます。

その他にも、個人の仮想通貨取引による損失の繰越控除ができるようにする税制改正も望まれます。

2022年5月には、国民民主党代表である玉木雄一郎氏が個人の暗号資産課税を分離課税とすべきことや、発行法人が保有するトークンについては期末時価評価の対象外とすべきとしましたし、自民党内でも税制改正の議論は始まっているようです。

2022年8月24日に、「Web3プロジェクトチーム座長」と言われている平将明議員が、法人の期末時価課税のルールを見直す方針を固めたとされています。2023年度税制改正で議論されるので、今後の税制改正大綱などに盛り込まれる可能性が高いでしょう。具体的には、法人が保有する自社発行の仮想通貨(暗号資産)に関しては、期末時価評価して課税するという現行ルールを改正し、売却時点で損益を認めることに変更する方針です。

この記事では、税制改正すべき事項などに関して、税理士法人センチュリーパートナーズの税理士 齋藤一生が解説します。

日本が仮想通貨の税制改正をしない限り、人材は海外流出し続ける

日本の仮想通貨に対する税制は、非常に投資家不利なものとなっていて、一歩間違えると、投資家が税負担に耐えられなくて、経済的に破綻してしまうおそれがあります。破綻などはしなくても、大きく利益を出した投資家は、半分超を税金として持っていかれてしまうので、手取りは非常に少なくなってしまうのです。

利益が出た年は税金をとられるけれど、損失が出た場合にはそれを他の所得と相殺(損益通算)して税金が返ってきたりすることはなく、その損失を株式投資やFXのように翌年以降に繰り越すこともできないのです。

これが、海外に移住すれば、そもそもほとんど税金がかからなかったりするので、それなら移住しようということになってしまうのです。

また、特に問題だと思うのは、暗号資産関連の事業を行おうという法人を日本で作るのが無理ゲーになってしまっているところです。

実際に当税理士事務所へのご相談者で、NFT関連銘柄の仮想通貨を開発するため、法人を立ち上げようとしている人がいました。しかし、問題は法人の保有する仮想通貨への期末時価課税があるので、仮想通貨を保有するような事業を日本国内で行ったら、期末の含み益に課税されてしまうので、とてもじゃないけど、日本で事業を継続するのは難しいだろうということで、結局はシンガポールに移住されました。2022年時点ではこのような制度になってますが、こちらの自己発行の仮想通貨の期末時価評価は2023年に税制改正される可能性が高いでしょう。

優秀な人材の海外流出は日本にとって大きな損失ですし、個人的にも悔しいなと感じましたね。

なんとか仮想通貨(暗号資産)に対する税制改正を進めて、こういった流れを断ち切って欲しいとは思いますね。

みお
みお

実際に日本の税制のために、国内で暗号資産の事業はできないと考えて、海外移住を目指す人の事例はあるんですね。これは日本にって大きな損失だわ。

仮想通貨(暗号資産)の税法について、税制改正するべき点

税制改正に関する意見は数多くあるとは思いますが、ここでは3つの重要な点に絞って、解説します。これらの点について税法を改正していかないと、やはり日本人が海外に移住してしまう例が続くでしょう。

法人の期末時価課税に関する事項

法人の所有する仮想通貨(暗号資産)への期末時価課税という制度は、非常に危険だと言えます。次のような例を考えてみてください。3月決算の法人を例にして、実際に金額を入れて考えてみましょう。

  • 1月10日に1枚1万円の仮想通貨を1,000枚、つまり1,000万円分を購入する。
  • 3月31日時点では価格が急騰していて、1枚20万円となり、1,000枚で2億円の価値となっている。含み益は差額の1億9千万円となり、ここにおおよそ6500万円の法人税等(法人地方税含む)がかかり、これを5月31日までに納税する必要がある。
  • 5月中まで保有しているが、その価値は急落し、元の1枚1万円に戻り、合計価値は1,000万円に戻ってしまう。つまり、投資した時点からの利益は全く出ていない状態です。しかし、税金の6,500万円は残されたままとなる。
  • 5月31日時点で、結局は納税資金を集められず、その後は滞納状態に陥る。督促などが行われるものの、支払はできないので、やがては法人の預金口座や不動産などが差し押さえされ、会社の事業は継続できなくなる。

これはあくまでも事例ですが、仮想通貨(暗号資産)の世界ではこのくらいの価格変動はよく起きるので、税法をよく理解してなかったりして、期末時点で売却して現金預金に変えなかった法人は、非常に大きなリスクを背負うことになるのです。

更に言うと、事業の都合上、仮想通貨を保有する必要があって、期末に売却できない場合には、ちょっと日本で起業しようとする気持にはなれないでしょう。

仮想通貨については、色々な税制改正を求める声はありますが、個人的には、まずはこの法人の期末時価評価の税制改正は行って欲しいところですね。

みお
みお

株式投資の場合には、一般的に法人の期末時価課税はないみたいですけど、2022年現在は仮想通貨の場合には含み益にも税金がかかるんですね。ここは税制改正が入りそうなので変更に期待ですね。

個人の利益への税率が高すぎるという問題

個人が仮想通貨(暗号資産)の売買で利益を出した場合の税率が高いことに対する批判も多く、この点に関しても税制改正の要望が多いでしょう。

所得税の最高税率45%で住民税の税率が10%、追加で復興特別所得税も課税されるので、利益が大きく出た場合には半分超が持っていかれてしまうことになります。

仮想通貨売買等の儲けは雑所得という所得税法上の区分となり、更に、総合課税が適用されます。総合課税となる所得は、超過累進税率が適用されますが、超過累進税率の下では、稼げば稼ぐほど税率が上がる仕組みとなっています。

給与所得などとは異なり、投資の場合は損失が生じるかもしれないというリスクを背負っているので、高い税率ですと投資家不利となってしまいますね。

一般的にFXや株式投資の場合は、分離課税として約20.315%の税率で課税が行われるのに対して、仮想通貨への税率は高くなりやすいので、この点に関して日本在住の投資家が不満を持つのも理解できますね。

仮想通貨も投資による所得でありますし、投資する人口も増えていることから、他の投資による所得と揃えた税率へと税制改正してもよいのではないでしょうか。

※総合課税となる所得が元々小さく、超過累進税率の下でも、20.315%未満の課税となる人にとっては、税制改正で分離課税となると不利になる可能性はあります。

個人が仮想通貨投資で赤字となったら損失の繰越控除を適用できるようにしたい

仮想通貨(暗号資産)への投資で個人が損失を出した場合には、現行法上では、その損失を翌年に繰り越すことはできません。

1年目で赤字を出して、その翌年以降に黒字が出て、トータルでは利益が出ていない場合であっても、その翌年以降の黒字のみに対して税金がかかってしまうという、かなり投資家不利な内容になっていますので、仮想通貨の損失の繰越控除を認めるように税制改正して欲しいところですね。

次のような例です。

  • 仮想通貨投資を開始した1年目に300万円の赤字を出してしまった。
  • その翌年である2年目には200万円の利益が出た。
  • 1年目と2年目の損益を合計すると、マイナス100万円の損失である。
  • しかし、現行の税制では2年目の利益の200万円の利益のみを考えて税金がかかる。所得税や住民税の合計税率が30%である場合には、「200万円×30%=60万円」の税金がかかることになる。つまり、2年間のトータルでは100万円損しているのに、税金が60万円もかかるという不合理な事態が生じてします。

このような制度であるがゆえに、年末になって損切りをしたくても、損失の繰越控除ができないので損切りをできないという投資家もいるでしょう。

この点に関しても、上場株式等の譲渡損失が出た場合の繰越控除のように、仮想通貨に関しても3年間の損失の繰越控除を認めるように日本は税制改正すべきではないでしょうか。

なお、損失の繰越控除が認められるようになるとしたら、そのタイミングは分離課税として税率も変更されるときでしょう。

みお
みお

損してるのに税金が出るって、怖いことですよね!

こういった税金の仕組みを知らないままに仮想通貨投資するのは、かなり危険ですね。

税金が高いからって確定申告しないのは駄目

税制改正をすべきである点を説明しました。日本の仮想通貨に対する税制が厳しいことはご理解いただけたと思います。

ただし、「税制が悪いのだから、確定申告なんてしないし、税金も納めない」という考え方は絶対にしないでください。法律は法律であり、納得がいかないからと言って、破って良いものではないのです。

この記事で言ってるのは、税制改正の必要性であり、税制に従わなくても良いということではないのです。日本の居住者である以上は、日本の法令は遵守する必要があります。

もしも確定申告をしなくても、国税や税務署に見つかってしまう可能性も高く、その場合には罰金や利息を取られるので、ますます仮想通貨の利益に対する手取りが減少してしまうことでしょう。

仮想通貨(暗号資産)はいつから分離課税になる?

仮想通貨(暗号資産)はいつから分離課税になるのでしょうか?

実際に分離課税になるかどうかも分からないのですが、仮想通貨投資する人口が増えてきていますし、次世代インターネットとも言われているWEB3.0の経済圏推進のために日本は力を入れるべきとして国会で議論も行われているので、税制改正が行われる可能性は大いにあるでしょう。

いつ税制改正が行われるのかという時期を予想することは難しいのですが、FXが分離課税になった例などは参考になるかもしれません。

FXの税制改正から予想する仮想通貨の税制改正時期

仮想通貨(暗号資産)が分離課税になるかどうか、又、なるとしてもそのタイミングは不明ですが、元々総合課税だったFXが分離課税になるまでにかかった期間を参考にすることはできそうです。

FXが日本で始まったのは、1998年ですが、2012年に分離課税と変更されました。つまり、FXが日本で始まってから10数年かかっていることになります。

仮想通貨の場合には、マウントゴックスが2010年にビットコイン取引所サービスを開始しているので、そこから10数年と考えると、そろそろ仮想通貨関連の税制改正が行われても不思議ではないとは思います。

みお
みお

個人の分離課税への移行、法人への強制的な期末時価評価課税の廃止など、暗号資産の税制改正を期待したいですね。

税制改正の必要性のまとめ

こちらの記事では、仮想通貨(暗号資産)の税制改正をしないと、日本の優秀な人材が海外移住してしまうことや、仮想通貨関連の税制で改正すべき事項を説明しました。

税制というのは、国民の意思決定に大きな影響を与えてしまいます。海外移住という大きな決断にまで起こすのです。

一般的には「税金のために日本を出るまでするのか!?」と驚かれるかもしれません。

しかし、「ブロックチェーン関連の事業を行いたいのに、日本では仮想通貨に対する税制が厳しいためにそれを諦めなくてはならない」といった状況になった場合には、やはり、海外での起業を目指すのは自然なことではないでしょうか。

自分の持っている優秀な技術やアイディアを日本にいる限りは生かせないというのであれば、仕事に対して情熱的な人ほど、国外に出て行ってしまうでしょう。

又、既に説明したように、日本の個人への課税も非常に投資家不利なものとなっていて、税率の高さや損失の繰越控除が認められていないのは厳しいですね。この辺が変わらないと、仮想通貨投資の利益への課税を減少させるために海外に行くという人も当然出てきてしまうでしょう。

これもまた、日本にとっては損失ですので、なんとか対策を打ちたいところです。

諸外国の税制と比較したときに著しく不利な税制ではあってはならず、今後の良い改正に期待したいですね。

おすすめ取引所の比較

取引所名 コインチェック DMMビットコイン ビットバンク BIT Point(ビットポイント) Huobi Japan
取引所画像
銘柄取扱数 18銘柄 6銘柄 14銘柄 14銘柄 22銘柄
販売所取引手数料 無料 無料 無料 無料 無料
取引所取引手数料 無料 Maker -0.02% Taker 0.12% 無料 Maker 0.012~0.150% Taker 0.036~0.150%
レバレッジ取引の有無 2倍 2倍 2倍
最低取引単位 500円相当額 販売所:0.0001 BTC
取引所:-
取引所:-
販売所:0.00000001 BTC
販売所:0.001 BTC
取引所:-
販売所:0.001 BTC
取引所:0.0001 BTC
運営開始日(日本国内) 2014年8月 2018年1月11日 2014年5月7日 2016年3月 2016年9月
公式サイト コインチェック
公式サイト
DMMビットコイン
公式サイト
ビットバンク
公式サイト
BIT Point(ビットポイント)
公式サイト
Huobi Japan
公式サイト
タイトルとURLをコピーしました