仮想通貨は出国税(国外転出時課税制度)の対象となるか?

仮想通貨の税金

仮想通貨(暗号資産)は出国税(国外転出時課税制度)の対象となるかどうかですが、結論から言うと、現時点においては対象外となっています。

ただし、この記事で説明するように、法人経営をしている人などは注意が必要ですので、しっかりと最後までご覧ください。

NFT(非代替性トークン)についても出国税の対象となるかどうか気になる人もいるかと思いますが、NFTについても対象外となります。

この記事では仮想通貨と出国税(国外転出時課税制度)の関係性に関して解説していきます。又、税金を安くしたいとか、無税にするために海外に引っ越すということに対する意見も書いております。

みお
みお

海外に引っ越す場合は、国外転出時課税制度で税金がかかるのね。税金の網の目って色々と張り巡らされてるのね。

出国税(国外転出時課税制度)とは?

出国税(国外転出時課税制度)とは、時価1億円以上の対象資産(株式等)を有する日本の居住者が、海外に転出する場合に適用される課税制度です。

株式等を実際には保有したまま海外に行ったとしても、出国時点で株式等を一度譲渡(売却)したものとみなして、含み益に対して所得税がかけられるのです。ただし、後述するように一定の猶予制度はあります。

この出国税が仮想通貨にかかるかどうか不安を覚える方もいらっしゃるのです。

出国税の目的

出国税(国外転出時課税制度)が何故作られたのか、どういった目的があるのかを解説します。

端的に言えば、「海外のキャピタルゲイン課税がない」又は「税率が非常に低い」国に引っ越して、日本の非居住者となってから株式等を売却することで、日本の税金を逃れることを阻止するための制度だとお考えください。

日本国内の居住者と、海外移住した人での不公平をなくすという意義も有していると言えるでしょう。

出国税の対象者

出国税の対象者は、以下の条件を満たす人となります。

1.国外提出時において、1億円以上の有価証券等を有している。

2.国外転出日前の10年間において、日本在住期間が5年を超えている。日本人ではなく、外国籍であっても出国税の対象とはなりますので、この点は注意が必要です。ただし、日本への在留において、留学・短期滞在・企業転勤・法律及び会計業務・外交などの一定の在留資格を有していた期間がある場合には、その期間は除きます。

基本的には、一般的な日本人の場合には「1」を満たすと出国税の対象になるとお考えください。

出国税の対象となる資産

出国税(国外転出時課税制度)の対象とされる資産の価格は、以下のものと規定されています。

1.所得税法に規定する有価証券、匿名組合契約出資金の価格
2.末決済デリバティブ取引等のみなし決済損益の金額

ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)が上記のいずれかに該当するかに関して、次の項目で説明します。

仮想通貨は出国税(国外転出時課税制度)の対象外である

みお
みお

現行の税法では、非居住者になっても、暗号資産に対しての出国税はかからないんですね。

出国税(国外転出時課税制度)の対象資産には有価証券などがありますが、仮想通貨(暗号資産)は有価証券には該当しません。

又、匿名組合契約出資金やデリバティブ取引等にも該当しないとされています。

したがって、出国税の対象資産のいずれにも該当しないこととなり、仮想通貨は出国税(国外転出時課税制度)の対象外であるのです。

仮想通貨は株式投資などと近く、値上がり益を狙う対象ではあるのだから、対象とするべきだという声もありますが、現時点では対象外となります。

今後、出国税の対象とされる可能性もある

みお
みお

税金逃れを封じるために、国税も税法改正をしてきそうな気配は感じますよね。

出国税(国外転出時課税制度)の対象として、近い将来において税制改正が入り、仮想通貨(暗号資産)も対象とされる可能性は否定できません

仮想通貨の売却益について課税逃れをするために国外転出する人が増えてくれば、国税サイドとしても、手を打ってくる可能性があるのです。いつまでも、出国税が仮想通貨にはかからないとは考えない方が安全と言えるでしょう。

非居住者となれば売却益への課税はないが、慎重な判断が必要

なお、非居住者となることで、仮想通貨のキャピタルゲインへの課税を回避できると考えて出国したとしても、絶対に日本の税金がかからないと言い切れる専門家も少ないのではないでしょうか。

ここは国際税務を得意とする税理士事務所の専門家が得意とするところではあると思いますが、居住者か非居住者かは、国内に家族がいるかどうかとか、日本と外国の居住日数なども勘案して判断されるため、慎重な判断が求められます。

1年間の半分超の183日以上海外にいたからと言って、必ず非居住者と認定してくれるわけでもないでしょう。

この辺りに関しては、必ず国際税務専門の税理士事務所に相談してから判断したいところです。

NFTも出国税の対象外

みお
みお

もしも今後、税制改正で仮想通貨が出国税の対象資産と認定されても、デジタルアートなどのNFTのような資産は対象にならないように気もしますね。

NFT(非代替性トークン)に関しては、出国税(国外転出時課税制度)の対象となるのでしょうか。

こちらについても仮想通貨と同じで、個人がNFTを保有していたとしても、それは出国税の対象とならないと考えられます。上記で説明した対象資産のいずれにも該当しないためです。

法人で仮想通貨を保有してる場合は、法人株式は出国税の対象

仮想通貨(暗号資産)は出国税の対象外であることは、説明しましたが、法人経営者の人は注意が必要です。

個人で保有している仮想通貨については出国税の対象ではないのですが、法人が仮想通貨を保有していてその銘柄が値上がりしている場合には、法人の株価は上昇しているはずです。

そして、その法人の株式を保有している場合には、出国税(国外転出時課税制度)の対象資産である「有価証券」に該当するため、出国税の課税対象となってくるのです。

個人としては、仮想通貨ではなく、あくまでも法人株式を保有していることになりますので。

なお、「海外移住でも節税できないなら、日本国内にいながら、海外の暗号資産取引所の口座を使えば、税金逃れできるのではないか」とかは考えないようにしましょう。以下の記事のように、しっかりと税金はかかってきます。

出国税の納税猶予特例

法人で仮想通貨(暗号資産)を有していて、出国予定者の保有する法人株式が値上がりしているケースなどでは、どうしても出国税の対象となってしまうこともあるでしょう。

この場合でも、出国税の納税猶予特例を使える可能性があります。

手続きは以下のとおりで、5年間の猶予が可能となります。

1.納税管理人の届け出をすること
2.所得税の確定申告書に納税猶予を受ける旨を記入すること
3.確定申告書に一定の書類を添付すること
4.納税の猶予をされる所得税及び利子税に相当する担保を提供すること(担保提供書や担保目録も提出する。)

より詳しくは、こちらの国税庁のページに記載がありますのでご確認ください。

納税猶予特例の延長

海外に転出した日から5年以内に、「期限延長届出書」を提出した場合には、更に5年間、納税猶予をしてもらうことができます。

最初の納税猶予特例とこちらの期限延長により、合計で10年間の猶予が可能だということになります。

税金回避のためだけに海外に転居することに対する疑問

法的な要件を満たした上で、国外に移住した場合には、確かに仮想通貨(暗号資産)やNFTに対する税金が安くなったり、無税となることはあるでしょう。

ただ、実際に国外に移住するための労力のことを考えたり、現在勤務している会社のキャリアを失うことのリスクを考えると、税金回避のための海外居住はそこまで大きなメリットがあるのだろうという疑問もわいてきます。特に、家族のがいらっしゃる方の場合には、それが家族への大きな負担となることも考えられますので。

そして、会社に離職届を出したり、賃貸住宅の解約申し入れをして、海外居住を目指して動いている間に、仮想通貨(暗号資産)が大暴落してしまうというケースも十分に考えられます。

提出するまでは売らないと決めて保有し続けた結果、暴落して含み益のほどんどがなくなったりすることもあるでしょう。

我慢できずに暴落途中で売却した結果として利益は多少は残ったけれど、結局は利確してしまっているので、移住する意味がなくなり、会社にも戻れなくなってしまうということも考えられるでしょう。

海外に行って、そこでビジネスを行いたいとか、そういったケースでは話が別ですが、税金を逃れるためだけの海外移住については、あまりオススメできないと思ってはおります。

みお
みお

税金を回避するために出国の準備をしてたのに、その前に保有しているコインが暴落してしまったら、ちょっとショックね。国外転居のために退職届を提出済みで、しかも含み益が含み損に変わってたりしたら、ちょっと精神的には耐え難いものがありますね。

仮想通貨と出国税(国外転出時課税制度)の関係性のまとめ

この記事では、出国税(国外転出時課税制度)が仮想通貨(暗号資産)やNFTにかかってくるのかどうかを中心に説明いたしました。法人経営者の人は、法人で仮想通貨投資をしてる場合は注意が必要なことも解説しました。

海外に移住するというのは、本人やご家族にとっては非常に大きな決断となりますので、税金だけではなく、総合的な判断をしてくださればと思います。

又、住民票を日本から抜いただけで、税務上完全に非居住者扱いになるわけではないので、移住するとしても、慎重な準備が必要だと言えるでしょう。

なお、日本の居住者であり続ける場合の仮想通貨の税金計算や確定申告についてもご確認ください。

みお
みお

下記の記事で、「そもそも日本国内では仮想通貨に対してどのように課税されるのか」とか「確定申告」については、必ず確認して欲しいですね。

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