仮想通貨のDEXはご存知でしょうか?「仮想通貨のDEX(デックス)が注目されているのは知っているけどあまり詳しくない」、「専門用語が多くて難しい」そんな方にもわかりやすく解説します。
DEXを正しく知れば、高利回りで仮想通貨を運用できるチャンスを狙えます。
この記事でわかるポイント
- 仮想通貨のDEXとは
- 仮想通貨のCEX(従来型取引所)との違い
- 仮想通貨のDEXのメリット・デメリット
- 仮想通貨のDEXを利用する前に知っておくべき注意点
DEXは「ハイリスク・ハイリターン」の世界。注意点を知らずに取引を開始するのは危険ですので、今回はDEXとは何かということ、又、その仕組みに関してわかりやすくしっかりお伝えしていきます。
DEX(分散型取引所)とは?従来における取引所(CEX)とは何が違う?
これからDEX(分散型取引所)について解説すると共にCEX(中央集権型取引所)についても併せて比較しながら解説していきます。
それぞれの特徴と相違点を押さえ、仕組みをわかりやすく解説します。DEXとCEXの違いもしっかりと抑えましょう。
分散型取引所(DEX)とは?
DEXとは「分散型取引所(Decentralized Exchange)」です。
「分散型」の意味するところを押さえるとわかりやすいでしょう。説明していきます。
DEXはDeFiの一種
DEXはDeFi「分散型金融(Decentralized Finance)」の一種です。
DeFiとは「仲介者が存在せず、ユーザー同士が直接取引できる(P2P)金融仲介アプリケーション」のひとつです。
「仲介者が存在せず、コンピューターに繋がったユーザー同士が直接取引できる」これこそが「分散型」で、分散型取引を実現したのは2009年に誕生したテクノロジー、ブロックチェーン技術です。
仮想通貨取引所(CEX)との違いは中央集権か分散か
DEX「分散型取引所」に対してCEX「中央集権型取引所(Centralized Exchange)」があります。
金融庁に登録されている日本の仮想通貨取引所(Coincheckなど)はすべてCEXであるので、中央集権型の取引所です。
CEXが仲介者(仮想通貨取引所)を必要とするのに対し、DEXではスマートコントラクトによってユーザー同士が直接取引しますので、非中央集権的な分散型取引所と呼ばれるのです。
DEXとCEXの違い | DEX(分散型取引所) | CEX(中央集権型取引所) |
---|---|---|
運営主体 | スマートコントラクト | 取引所(仲介者) |
資産管理 | 利用者 | 取引所(仲介者) |
匿名性 | 身分証明書が不要 | 身分証明書が必要 |
手数料 | 需給バランスで決まる | 取引所に払う(固定) |
ユーザー保護 | なし | 金融庁が指定 |
後述しますが、DEXには以下のような特徴も挙げられます。
- 仮想通貨の運用で高い利回りが期待できる。
- 「流動性の供給」によって報酬を得、資産を増やしていける。
- オープンソースのコードで透明性が極めて高い。
- 秘密鍵は利用者自身が管理する。
DEXの仕組みについて
DEXの仕組みを成り立たせているのは、スマートコントラクトです。
スマートコントラクトはブロックチェーン技術の上に成り立っています。
スマートコントラクトとは、特定の条件が満たされた場合に、事前設定した契約内容が自動的に実行される仕組みです。 つまり、取引のすべての段階で仲介者がいらずに、自動処理できます。いわば自動販売機に例えられます。
仲介者(組織や個人)を介さずにユーザー同士(P2P)が安全に確実に直接取引できます。だからヒューマンエラーによるリスクや人件費が最小化できるのです。
DEXの特徴について
DEXには大きく分けて2種類の形式があります。
オーダーブック(取引板)形式
「オーダーブック(取引板)形式」は、CEXでの取引に似ています。
Makerがスマートコントラクトでオーダーブックに売り注文すると、確認したTakerが買い注文を出し、売買が成立したらブロックチェーン上に決済が記録され、取引完了となります。
一部のDEXは、オフチェーン(ブロックチェーン外)でオーダーブック管理をしています。これはハイブリッド型と呼ばれ、オーダーブック管理は「Relayer」と呼ばれる第三者機関が行っています。
AMM(自動マーケットメイカー)形式
DEXの取引高のほとんどを占めるのが「AMM(自動マーケットメイカー)形式」です。AMMには「流動性プール」のプログラムが設定されています。
流動性プールはトークン(資産)を蓄え、交換できる場所のことです。
ユーザーAが、保有している2種類以上のトークンを流動性プールに「供給する」(預け入れる)と、ユーザーBは、流動性プールのトークンを引き出す(借り入れる)ことができます。
このとき、ユーザーAは流動性を供給することで「交換手数料収入」と「ガバナンストークン」の2つの報酬を得ます。この報酬が投資家を惹きつけています。では、それぞれの報酬について詳しく解説していきます。
報酬1:交換手数料収入
AMMではトレーダーは、トレードごとに一定の手数料をプロトコルへ支払っています。
トレーダーから支払われた手数料は、プロトコルに預けている資産の額に応じて流動性提供者への報酬として分配されます。
これが流動性提供者の収入源になります。
報酬2:ガバナンストークン
ガバナンストークンとは、分散型組織の運営方針を決めるための投票権で、流動性提供者に配布されます。
分散型組織には、管理者(決定権を持つ者)が存在しないため、利用者の投票で組織運営しています。ここで投票権であるガバナンストークンが必要なのです。組織内での決定権は、ガバナンストークンの保有量に比例して大きくなるので、大量に保有すれば運営に関われるようになります。
また、ガバナンストークンが仮想通貨取引所に上場していれば、ビットコインのような通貨と同じように売買もできるのです。無料で配布されたガバナンストークンを売却することで、売却益を出せる可能性があるため、投資家を惹きつけています。
分散型取引所(DEX)のメリットとは
分散型取引所(DEX)のメリットを詳しくみていきましょう。
『流動性』に貢献することで資産を増やせる
DEXの魅力なんといっても「高利回りの金利収入」です。
DEXでは、流動性プールにトークンを供給する(預け入れる)と交換手数料収入が得られ、さらにDEX独自のガバナンストークンを受け取れます。
ガバナンストークンは価値が高まっていく可能性があり、売却益も狙えるものです。結果として、DEXは10%からときには数百%の高利回りで資産を増やしていけるのです。
取引所への手数料の発生がない
CEXでは仮想通貨購入や法定通貨との交換時に手数料(取引手数料とスプレッド)が発生してしまいます。
人件費や設備費、セキュリティ対策費など、CEXが多額の費用をペイするために欠かせないものです。
対して、DEXでは運営組織が存在しないので、コストがかからず手数料は必要ありません。手数料が無料というのは、長く投資を続けていくうえで、大きな成果の差になるので、大きなメリットです。
ただし、トランザクションにかかるガス代が必要です。これは変動するためEtherscanなどで都度確認します。またDEXに流動性を提供するトレーダーへの手数料を支払う必要もあります。
CEXが抱える破綻リスク・セキュリティリスクがない
CEXでは、仲介の運営会社が顧客の個人情報や資産を保有し、取引を実行しています。利便性が高い一方で「運営会社の破綻リスク」や「内部不正によるリスク」「運営会社へのハッキングリスク」があります。
CEXの1か所に複数の利用者の秘密鍵やトランザクションが集中しているので、被害の影響が大きいのです。対してDEXは、トレーダー自身が個人情報や資産を管理しています。取引もP2Pで実行されます。
だから、万一のトラブルの際にも、DEXに預けている分の仮想通貨が流出するだけのリスクにとどめられるといえます。
破綻リスクやセキュリティリスクの面でメリットがあると言えるのです。
本人確認不要(匿名性が高い)
CEXでは金融庁の規制により本人確認書類の提出が必須です。このため、取引所がハッキングされた場合などは個人情報が流出するリスクがあります。
対してDEXでは、トレーダー自身が、MetaMaskなど仮想通貨のウォレットを作成し秘密鍵も管理します。この手順に本人確認は必要ありませんので、匿名性が高いと考えられます。
よって、個人情報漏洩のリスクは最小限に留まり、匿名性が高くプライバシーが守られています。
分散型取引所(DEX)のデメリットとは?
DEXのデメリットを押さえましょう。注意点を知らずに取引するのは極めて危険です。
サポートや補償がなく資産管理は自己責任
DEXでは仲介業者が存在しないため、次のリストのようにすべて自己責任に委ねられます。一切のサポートがありませんので、自己責任で管理することになります。
- セキュリティ対策やリスクマネジメントはすべてトレーダー自身に任されている。
- 秘密鍵の紛失や盗難の場合も補償はない。
また、DEXに限りませんが、仮想通貨の送金はアドレスを間違うと資産が消失しますので、注意が必要です。
DEXは一定以上の知識がないと扱えるものではないことをよく理解の上、ブロックチェーン技術・セキュリティ対策・資産管理について情報収集し続けることが必要です。
ハッキングによる資産消失リスク
DEXのプロトコル自体へのハッキングは過去に何例もあります。プログラムにバグが潜んでいることもあります。
こういった事態では資金が永久に引き出せなくなる場合もあります。また、自身で作成したウォレットのセキュリティ対策も必須です。
流動性が低いためCEXより取引がしにくい
DEXは仲介者がいないため、取引板の厚さや取引価格は、各トークンの取引量や個々の流動性提供者、マーケットメイカーの参加状況に大きく左右されます。
CEXのように運営側の積極的な介入がないためです。結果として、希望価格での取引が成立しないケースが増えてしまう傾向があるというデメリットを有しています。
さらに、DEXはスマートコントラクトによって成立しているために、スケーラビリティ問題を抱えています。DEXではCEXより取引処理のスピードが遅くなりがちになります。
- スケーラビリティ問題
-
スケーラビリティ問題とは、利用者が増えることでシステム負荷が高まってしまい取引がスムーズにいかなくなることです。
具体的には、利用者が増えることで、ネットワークの承認にかかる時間が延びてしまい、処理速度が低下して送金遅延を引き起こしてしまうことです。また、同時にかかるガス代も高騰してしまいます。
よって、「時間がかかって」「手数料が高い」などの問題点があるので決済手段としての利便性がなくなってしまうのです。
金融庁による規制も保証もない
CEXが金融庁の規制下にあるのに対して、DEXはルール・法整備が追いついていません。トレーダー自身に自由度が極めて高い一方で、トラブルが起きた場合にも解決のためのルールがないというデメリットがあります。
CEXは金融庁の規制の下、コンプライアンスの遵守、補償制度やサポートの充実まで幅広い要件を満たして暗号資産交換業者のライセンスを取得しています。DEXにそれらは期待できません。
DEXのプロトコルはオープンソースで極めて透明性が高い一方、コピーが容易で詐欺やハッカーの温床となっている一面もあります。いずれは規制が敷かれていくと思われますが、現状は規制や補償はありません。
各国に規制される可能性がある
DEXの利用には本人確認書類などが不要です。国籍問わずだれでも利用できるフラットなシステムですが、一方でテロや反社会勢力の資金調達手段として悪用される危険性もあります。そのため、各国で規制対象となるリスクを内包しているといえるでしょう。
各国の仮想通貨規制に関するニュース報道に注目しておく必要があります。DEXはまさに、ハイリスク・ハイリターンの世界であるのです。
おすすめのDEXは?
それでは最後に、おすすめのDEXを紹介します。
ここで紹介するDEXはすべてAMM(自動マーケットメイカー)形式です。
Uniswap | SushiSwap | PancakeSwap | |
---|---|---|---|
時価総額 | $5,281,536,549 | $318,697,805 | $647,328,655 |
ローンチ | 2018年11月 | 2020年8月 | 2020年9月 |
チェーン | イーサリアム | イーサリアム | BSC |
ガバナンストークン | UNI | SUSHI | CAKE |
公式サイト | Uniswap公式サイト | SushiSwap公式サイト | PancakeSwap公式サイト |
Uniswapの特徴
- 2018年11月にローンチされ、数あるDEXのなかでもリーダー的存在。
- UNIを得てスワップも可能。
- 上場審査がなくどんな通貨も取引所にラインナップでき1500種類以上が取引可能。
SushiSwap
- Uniswapのミーム(模倣)として誕生。
- イーサリアムベースありながらPolygonやBSCチェーンも対応。
- SUSHIをUniswapに預けるとUNIが報酬に得られる。
- Sushi BarでステーキングしSUSHIをロックすると継続的に報酬が得られる。
- KASHIでレバレッジ取引の借入ができ、貸出すれば金利収入を得られる。
- NFTプラットフォーム(Shoyu)やメタバース開発も。
PancakeSwap
- イーサリアムネットワークではなくBSC(バイナンススマートチェーン)を採用しているので手数料が低い。
- 最大利回り300%。
- 預けたペアトークンで得られるLPトークンをステーキングするとCAKEが収穫できる。
- CAKEをSyrup Poolsでステーキングするとさらに報酬を得られる。
- CAKEを消費することで宝くじLotteryに参加でき、当選するとLotteryプールの一部がもらえる。
- Pancake SquadなどNFTコレクションも展開
まとめ
DEXで仮想通貨を運用すれば、高利回りの収益を狙えます。一方で、DEXは一切が自己責任の世界です。極めて「ハイリスクハイリターン」の世界です。
安全に使いこなすためには、ブロックチェーン技術、セキュリティ対策、資産管理など一定の知識が必要不可欠です。また変化も速いため、英語での情報収集も欠かせません。
初心者はまず、Coincheckなどの仮想通貨取引所(CEX)で知見を積み、余剰資金で少額からDEXの取引を開始するようにしましょう。また、DEXでの取引にも、仮想通貨取引所の口座開設は欠かせませんので、まだの方はそこからはじめていきましょう。
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