主婦が仮想通貨(暗号資産)で稼ぐと税金の配偶者控除や社会保険の扶養は外れないといけないの?

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主婦がビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)の売買で稼いだ場合に、の税金を減少させる効果がある配偶者控除を使えなくなるのでしょうか?

又、夫の社会保険の扶養から外れて、国民健康保険料国民年金保険料を支払わなくてはならないのでしょうか?

仮想通貨で儲けることによって、反対に税制上や健康保険で不利な扱いを受ける可能性もあるとなると、ちょっと気になりますよね。

この記事では上記のような、仮想通貨と扶養の関係に関して、税理士が説明いたします。なお、税法上の扶養と社会保険の扶養は切り離して考える必要がありますので、この点はご注意ください。

みお

夫の扶養に入っている主婦が仮想通貨で利益を出すと、夫の税金のことまで考えないといけないんですね。

タクミ

税法上の扶養は仮想通貨の所得も含めたところで判定しなくてはならないので、結構ややこいしんですよね。

目次

税制上の扶養制度である配偶者控除と仮想通貨の関連性

ここでは、税制上の扶養の制度としての配偶者控除と仮想通貨の儲けの関係について説明します。よく、103万円の壁とか言われているのは、こちらの税法上の扶養の話なのです。

所得税法や地方税法では、夫の扶養の対象者としての条件を満たす配偶者がいる場合は、その夫の所得から、配偶者控除という所得控除を差し引いて所得税や住民税が計算されます。もちろん、これは妻と夫の収入の関係が逆である場合は、妻の所得から配偶者控除という所得控除を差し引くことができます。

元々あまり収入がなかった主婦の方で、仮想通貨売買で急に利益が出てしまった場合は、「夫の扶養の対象から外れて、税金を多く支払わなくてはならないのかな?」とご不安になると思うので、ここで、その点についてはっきりとさせましょう。

配偶者控除と配偶者特別控除について

ここでは所得税の配偶者控除について、納税者本人を夫として説明します。

配偶者控除とは、配偶者(妻)の所得が48万円以下の場合に、その配偶者を扶養する納税者本人(夫)の所得から38万円を差し引いて税金を計算できる制度です。

ただし、その配偶者のその年12月31日における年齢が70歳以上の場合は、48万円となります。なお、納税者本人(夫)の所得が900万円を超えると配偶者控除の額は減額され、1,000万円を超えると配偶者控除は全く受けられなくなります。

また、上記の条件を満たせずに配偶者控除の適用ができない場合でも、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であり、かつ、配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下の場合には、配偶者特別控除という所得控除の制度を使うことができます。

仮想通貨で主婦の所得が増えると、夫の配偶者控除の対象外となる

みお

仮想通貨で利益が出るのは嬉しいけれど、配偶者控除は受けられなくなってしまうんですね。

ここまでで、配偶者である妻が、専業主婦などで所得がない場合、又は、主婦の方が少しだけパートで稼いでいるような場合には、夫の扶養として配偶者控除を受けられることが分かったと思います。

しかし、ここでその主婦の方が仮想通貨(暗号資産)の売買をして、大きな利益を確定させた場合は、納税者本人である夫は配偶者控除を使えるのでしょうか。

結論から言うと、配偶者控除の判定となる所得には、仮想通貨の売買利益としての所得も含みますので、主婦の方が要件にある所得を超過してしまった場合には、税制上の配偶者控除を受けることはできません。

たまたまその年に長年保有していたビットコインを売却して利益が出た場合であっても、やはり配偶者控除は受けられないのです。

又、仮想通貨の売買益ではなくて、ステーキングやNFT売買やNFTゲームで所得が増えた場合であっても、税法上の扶養制度である配偶者控除を受けることはできないので注意しましょう。

ちなみに、配偶者以外の家族に関しては、所得が低いと扶養控除という所得控除の対象となるのですが、扶養控除の判定においても仮想通貨の所得は含みます。

対象外となる場合は、夫の年末調整で配偶者控除を受けないこと

主婦が仮想通貨で儲かった場合で、配偶者控除の所得要件を外れてしまった場合、夫の会社の年末調整でも配偶者控除を受けないように注意しましょう。

配偶者控除申告書という書類など、いくつもの書類を年末調整で提出するのですが、そこで誤って配偶者控除を申告してしまった場合には、夫が改めて確定申告をして配偶者控除を外す必要性が出てきてしまいます。

社会保険の扶養と仮想通貨の関係性

みお

税金と健康保険の扶養って、別物と理解する必要があるんですね。なんだか非常にややこしい気がしますね。

社会保険料とは、会社員の人が会社で支払っている健康保険料や厚生年金保険料のことを一般的に指しています。専業主婦の方などは、夫の社会保険の扶養に入ることで、健康保険料や国民年金保険料を支払わなくて済むのです。

社会保険の扶養と、税制上の扶養については、別制度として存在するので、異なる要件を有しています。130万円の壁という話が出ることがありますが、これは社会保険の扶養の要件のことを指しています。

仮想通貨売買で主婦が稼いだ場合において、所得税法や地方税法による配偶者控除の適用からは外れてしまったとしても、夫が会社で入っている社会保険の扶養に入り続けることが可能なのです。

社会保険の扶養は年収130万円未満だと入れる

社会保険の扶養は、年収130万円未満で、かつ、被保険者の年収の2分の1未満だと対象となります。

専業主婦の方や、パートで少額を稼いでいる主婦の方の場合には、夫の社会保険の扶養に入れることになります。

もしも130万円以上となった場合には、夫の扶養から外れて、自ら国民健康保険料と国民年金保険料を支払わなければならず、家計にとっては大きな支出となるのです。

この年収ですが、暦年における前年の1年間の年収でもなければ、現在から過去1年間の年収でもなく、「今の年収」で判断するのです。しかし、今の年収と言っても難しいので、130万円を12ヶ月で割った108,334円を基準として判断することになります。

主婦が仮想通貨売買で稼いでも夫の社会保険の扶養からは外れないと考えられる

仮想通貨の売買で儲けが出る場合に、この130万円基準に含めるかというと、仮想通貨をたまたま売ったことによる一時的な収入(臨時的な収入)の場合は、継続的なものではないので、ここに含めなくて良い可能性が高いでしょう。

つまり、主婦が仮想通貨で稼いでも、社会保険の扶養には入れるということです。

ただし、毎月売買を繰り返して、定期的(経常的)に儲けているような場合には、社会保険の扶養から外れなくてはならない可能性もありますので、この場合は夫が加入している健康保険組合に対して仮想通貨売買と被扶養者の収入要件に関して確認した方が良いでしょう。

みお

仮想通貨の取引で主婦が稼いでも、社会保険の扶養には入れるという点は嬉しいですね。

主婦がNFT売買やNFTゲームで継続的に稼いだ場合は社会保険の扶養を外れる

主婦がビットコインなどの仮想通貨を売却して一時的に儲けを出した場合には、夫の社会保険の扶養を抜けなくて良いということは説明しましたが、継続的にNFT売買(NFT制作販売や転売業)をしたり、NFTゲーム(ブロックチェーンゲーム)継続的に仮想通貨を稼ぐことで利益を出している場合には、社会保険の扶養を出なくてはならないことが想定されるので、この場合は夫の会社の健康保険組合に確認を取りましょう。

夫が自営業者の場合は健康保険の扶養は考慮しなくても良い

夫が自営業者の場合で、国民健康保険に加入している場合には、仮想通貨と健康保険の扶養の関係については考えなくても良いでしょう。

国民健康保険の場合には、世帯合算の所得に対して保険料がかかるのです。つまり、130万円未満の所得だから扶養に入れるとか、そういう概念はないので、最初から気にする必要がないのです。扶養を抜けたから急激に健康保険料の支払が増えて損するということではなく、あくまでも所得に対して比例的に健康保険料が増加するのです。

なお、制限なく比例的に増加するのではなく、限度額も存在しますので、これはお住まいの地域の市役所や区役所のホームページで確認しましょう。

仮想通貨の収入とパート収入などを合算して扶養の対象か判断する

タクミ

パートをしている主婦の方も多いですから、配偶者控除の判定では、仮想通貨の所得と合算して判断する必要がありますね。

税法の扶養でも、社会保険の扶養でも、仮想通貨(暗号資産)関係の収入だけで、扶養家族として扱われるかどうかが決まるわけではありません。

1つ1つの稼ぎの種類ごとではなく、各々の稼ぎの合算で判断されることになります。ただし、証券会社の源泉徴収有りの特定口座で株式投資をしている場合で申告不要制度を選択した場合には、その所得は含めずに判定してOKです。

主婦の方がパートをしていて、かつ、仮想通貨売買で利益を得ている場合には、両方の合計所得で配偶者控除を受けられるかどうかを判定すると言うことです(パートの給与所得からは給与所得控除を控除した後の金額で判定します)。

社会保険の扶養の問題に関しては、仮想通貨を売買して一時的に儲かったような場合は、含めなくて良いと考えられます。

パートで給料をもらっていて、かつ、NFT販売して仮想通貨を稼ぐような場合は、両者の合算で社会保険の扶養が判断されるでしょう。

扶養を外れないために稼ぎを減らすのは本末転倒

タクミ

夫の扶養として配偶者控除を受けられるかどうかを意識しながら仮想通貨売買をしても、うまく取引できなくなってしまう可能性もあるので、あくまでも利益を増加させることに集中した方が良いでしょう。

仮想通貨(暗号資産)で稼ぐ場合に、夫の扶養を外れそうだから、敢えて所得を減らそうとか、稼ぐのはやめようとか考えるのは、家計の収入を増やして豊かになるという観点からは、本末転倒ですので避けましょう。

結果的に大きな利益が出て、家族でトータルで支払う税金等が増えたとしても、基本的に利益の額よりも税金が大きくなるというケースは少ないので、税金を支払ってでも年収を上げていった方が得なのです。

主婦の方が税金の扶養や社会保険の扶養にこだわり過ぎるあまり、収入を抑えるというのは、あまり健全な状態ではないと言えるかもしれません。もちろん、税制や社会保険制度が抱えている問題点もあるのですが、基本的には、収入を増やす方向で考えていくことがおすすめできます。

仮想通貨と扶養の関係のまとめ

みお

仮想通貨取引を行う主婦が夫の扶養でい続けられるのかどうかについて記載しているページは少ないので、よく理解できました。

タクミ

税務や社会保険の制度は複雑なものとなっていますが、知らないと損することが多いので、勉強していきたいですね。

このページでは、下記のことをご理解いただけたかと思います。

・税制上の扶養と社会保険の扶養は異なるものであること
・配偶者控除や配偶者特別控除の適用の判定では、仮想通貨売買等の所得も含めること
・社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養に関しては、一時的な仮想通貨の儲けは含めなくて問題ないであろうこと
・パートやアルバイト収入など、他の所得がある場合には、仮想通貨の所得と合算して配偶者控除の判定をすべきこと
・主婦の方が夫の扶養を抜けなくてはならないかどうかを意識し過ぎるがあまり、収入を意図的に減少させるのはおすすめできないこと

仮想通貨(暗号資産)やNFTで利益を得る場合には、ここで説明した扶養のことはもちろんのこと、税金の確定申告仕組みなどに関しても、きちんと理解しておくことが大切です。

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