仮想通貨(暗号資産)やNFTを相続したら相続税がかかる

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仮想通貨(暗号資産)NFT(非代替性トークン)を親や兄弟などから相続して取得した場合には、それらも相続税の課税対象財産となると考えられます。こういったデジタル資産(デジタル遺産)も、課税を免れないのです。

この記事では、まずは相続税の趣旨などに触れた上で、相続税の対象財産としてどのように評価するのか、又、相続税の申告と納税はいつ行うのか等について説明します。

仮想通貨やNFTは比較的新しい概念ですので、ついつい相続財産に含め忘れてしまうこともあるかと思いますので注意しましょう。

目次

相続税とは?

相続税とは、個人が死亡した場合に相続人が相続した財産に対してかかる税金のことです。死亡した個人のことを被相続人と呼び、財産を取得する個人のことを相続人と呼びます。

現金預金などん金銭だけではなく、不動産や株式、債券などにも相続税は課税されます。

そして、仮想通貨(暗号資産)やNFTについても、資産価値があるものに関しては、相続税の対象となるのです。

相続税の趣旨

仮想通貨(暗号資産)やNFTを含めた被相続人の財産に対して課税される相続税ですが、その趣旨は以下のようなところにあります。

・富の再分配を行うため
お金持ちの子供や孫が代々お金持ちで、お金のない家の子供や孫がいつまでも財産的に追いつけないというような状態になると、貧富の差は広がりますし、適正な競争が起きないので、富の再分配が必要だと言えます。


・相続財産の取得という、不労所得へ税金をかけるため
通常は働いたりしてお金を得た場合には所得税や住民税がかかります。同じように相続財産という不労所得を得た場合にも課税しないと不公平であるという考え方があります。

基礎控除の範囲内であれば非課税となる

相続税は全員にかかるわけではなく、基礎控除額の範囲内の相続財産であれば、非課税となります。これは、相続税法第15条(遺産に係る基礎控除)で規定されています。

基礎控除の計算は下記のとおりです。

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

例えば、父が死亡して、相続人が母・子2人の場合には、法定相続人は3名となり、以下の金額となります。

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

この場合は、全員で相続する財産の合計額が4,800万円以下であれば相続税は非課税となります。

仮想通貨(暗号資産)の相続税評価

ここでは、仮想通貨(暗号資産)の相続税評価に関してです。相続税の対象となるのは「活発な市場が存在する仮想通貨(暗号資産)」となります。取引所に上場している仮想通貨(暗号資産)は基本的に活発な市場があるものとして、資産価値が認められるでしょう。

ただ、取引所はあるけれど、ほぼ取引がなくて売れないという場合は、検討が必要になりますが。保有している人が多い仮想通貨として、下記のようなものは相続税の課税対象と考えましょう。

・ビットコイン(BTC)
・ライトコイン(LTC)
・ビットコインキャッシュ(BCH)
・イーサリアム(ETH)
・イーサリアムクラシック(ETC)
・アバランチ(AVAX)
・リップル(XRP)
・ステラルーメン(XLM)
・エイダコイン(ADA)
・ネム(XEM)
・シンボル(XYM)
・クアンタム(QTUM)
・ポルカドット(DOT)
・モナコイン(MONA)
・エンジンコイン(ENJ)
・リンク(LINK)
・その他、国内や海外の暗号資産取引所で常に取引が行われている仮想通貨(暗号資産)

上記に挙げたような仮想通貨は取引所に上場しているので、いつでも売却できるので、資産価値が認められますので、相続税の課税対象となるのです。

時価に対して課税される

仮想通貨(暗号資産)の相続税評価額は、死亡日の時価(相続開始日の時価)となります。被相続人がなくなったことを知った日となることもありますが、基本的に死亡日とお考えください。

遺産分割協議書に押印をした日や、被相続人のウォレットから相続人のウォレットに仮想通貨を移動させた日ではないのでご注意ください。

死亡時の時価に関しては、暗号資産取引所のチャートを確認し、その日の価格を調べることで知ることができます。

なお、海外取引所の場合にはドルベースの金額で出てくることがほとんどですので、その場合にはその日の為替相場で日本円の価値に換算した価額を相続税評価額としてください。

仮想通貨取引所に当日の時価の残高証明書をもらえると良い

仮想通貨取引所(暗号資産)取引所は日本を含めて世界中にあります。

相続があった場合には、死亡日の時価による残高を出してもらえるかどうか、一度問い合わせてみましょう。

取引所が書面を出してくれると、相続税の申告書の提出後にもしも税務調査が入ってしまった場合にも証拠にすることができます。

NFTの相続税評価

NFTの相続税評価額については、中々難しい部分があります。

NFTに関しては、仮想通貨(暗号資産)と違って取引所の時価がなく、非代替性トークンですので1つ1つの価値が異なるので、時価の算定が難しいのです。

骨董品のように鑑定士が存在するわけでもないので、時価評価に苦労するかもしれません。

しかし、明らかに財産価値のあるNFTであれば、やはり相続税の対象となると考えるのが妥当ですし、NFTに課税しないとなると相続税逃れが横行してしまうでしょう。

NFTを相続開始日の後にすぐに売却した場合には、売却額を相続税評価額とするのが合理的でしょう。

売却せずに相続人が保有し続ける場合には、そのNFTのクリエイター(アーティスト)の類似NFTの取引価額を参考に時価評価しても良いでしょう。もしくは、被相続人の購入が死亡日に近かった場合には、購入価額を時価評価額とするのも合理的だと思います。

もちろん、誰も欲しがる人がいないNFTで、価格がつかないような作品の場合は資産価値が認められないので、相続税はかかりません。

相続税の確定申告書の提出と納税の期限

相続税の確定申告書の提出期限(申告期限)と相続税の納付期限は同日で、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内となります。

長いようにも感じますが、その期間内に葬儀を済ませたり、遺産分割協議を終わらせたり、登記が必要な物件があれば登記手続きをしたりするので、短く感じる人もいるでしょう。

そのため、仮想通貨(暗号資産)やNFTの時価評価に関しても、なるべく早めに完了させて、余裕を持って相続税の申告及び納期限に間に合わせるようにしましょう。

相続が発生する前に取引所のログイン方法などは相続人に連絡を

仮想通貨(暗号資産)を保有している人は、病気などをしている人であっても、健康な人であっても、万一自分が死んでしまったときのために、暗号資産取引所のIDとパスワードを相続人に教えておいた方が良いでしょう。

携帯で二段階認証をしている場合には、携帯のロックの解除方法も伝えておきましょう。

先に伝えるのが嫌な場合には、いざというときに開いてもらう箱を用意しておいて、そこにIDやパスワードを書いたメモを残すと良いでしょう。

そうすると、残高を確認することができますので。

ログインできないと、相続する仮想通貨の内訳がわからない

被相続人のIDやパスワードを相続人が知らないと、相続の際に困ることになります。どのような仮想通貨(暗号資産)を相続するのか、相続人がわからなくなってしまいます。

又、相続税の計算のために時価評価もできませんし、仮想通貨の内訳がわからないので遺産分割協議の際にも相続人たちが頭を悩ませることになるでしょう。遺産分割はスムーズに進めた方が、相続争いも起きにくいでしょうし、内訳がわからないと、相続人代表者の負担も非常に大きくなるので、わかる状態にしてあげましょう。

最悪の場合には、相続人が仮想通貨の存在に気が付かずに、その財産を相続人に引き継ぐことができなくなってしまうことも考えられるので、やはりIDとパスワードを伝え、二段階認証用のスマートホンのロック解除方法も伝えたいものです。

残高を確認することで、相続人がスムーズに手続きを進めることができるでしょう。
※被相続人の口座で取引などは行わないようにして、あくまでもここでは内訳の確認に留めましょう。仮想通貨の取引をする場合は、あくまでも自分の名義の口座で行うことになります。

NFTに関しても、どこに保存をしているのかは相続人がわかるようにしておきましょう。せっかく集めたNFTの存在に相続人が気が付かず、消えてしまうのは悲しいことですよね。

被相続人のログインIDやパスワードが分からないまま死亡した場合の対応策

なお、相続があった場合には、対応策としては最初に暗号資産取引所に連絡を行いましょう。

続いて、相続人全員の印鑑証明書やその他の相続情報、遺産分割協議書の写しなど、取引所に指示された書類を提出しましょう。

IDやパスワードがなくても、残高照会や暗号資産の移動に関しては行うことができるため、IDやパスワードがないまま死亡してしまった場合でも、暗号資産を取り戻すことはできます。

海外(国外)にある仮想通貨(暗号資産)も相続税の対象である

海外取引所の口座など、海外(国外)に仮想通貨(暗号資産)がある場合であっても、相続税はかかります。

したがって、海外取引所に置いてあるビットコイン(BTC)などの仮想通貨には相続税がかからないといったような勘違いはしないようにしましょう。

申告しなかった場合に、税務調査で仮想通貨の存在が発覚することになれば、本来納めるべき相続税を取られるだけではなく、加算税という罰金や延滞税という利息を徴収されることになってしまいます。

又、海外口座に置いておけば、税務署にバレないだろうなどとは決して考えないようにしましょう。最悪、重加算税という非常に大きな罰金を取られることになります。

相続後は早めに仮想通貨を売却した方が無難

仮想通貨(暗号資産)は、相続開始日、つまりは死亡の日において財産評価がされ、その価額に基づいて相続税が課税されるのです。

死亡日からしばらく経過しても仮想通貨の売却を行わずに、もしも仮想通貨が暴落してしまった場合には、暴落後に換金してしても予定よりも小さな金額にしかならず、相続税の支払に苦労する可能性もあります。

そのため、仮想通貨に関しては、相続開始後に早めに売却を行い、納税資金をしっかりと確保しておいた方が無難だと言えます。

仮想通貨(暗号資産)やNFTの相続のまとめ

こちらのページでは相続税の趣旨を説明した上で、仮想通貨(暗号資産)やNFTに相続税がかかってくること、又、相続税評価の方法に関して解説しました。

特にNFTなどに関しては、法整備も追いついていないところも大きく、税法上も不明瞭な部分が多くあります。ただ、合理的な考え方で時価評価をしていくしかないのが現状でしょう。

相続税の申告や納付に関してもきちんと期限を守り、延滞税などの余計な税金を支払わないようにしましょう。被相続人の方が残してくれた大切な財産ですから、できるだけ多くを手元に残しておきたいですからね。

被相続人となりうる立場の人としては、相続人が困らないように、仮想通貨(暗号資産)やNFTのありかなどに関しては、きちんとメモなどで残し、相続人がスムーズに遺産分割や相続税申告書の作成を行うことができる状態にしておきたいですね。

仮想通貨やNFTは比較的若い世代が保有していて、高齢者の保有割合は低いのですが、これからの時代は仮想通貨やNFTの相続も増えてくるかもしれませんね。

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