COSMOS(コスモス/ATOM)はブロックチェーン同士を「つなぐ」ことを目的とした、ほかとは少し異なるプロジェクトです。
日本語では、コスモスと呼ばれたり、アトムと呼ばれたりする仮想通貨(暗号資産)です。
ますます広がっていくであろうブロックチェーンの世界で、「つなぐ」役割の重要性は今後高まっていくとみられています。
今回は、そんな仮想通貨(暗号資産)のCOSMOSの歴史や特徴、将来性や今後の価格の予想を詳しく解説します。
COSMOS(ATOM)とは?
COSMOSは「The Internet of Blockchains(ブロックチェーンのインターネット)」の実現を目的に立ち上げられたプロジェクトです。
独立して存在するブロックチェーン同士をつなぎ、互換性を持たせることで相互運用を可能とすることを目指しています。また、それによって、ブロックチェーン最大の課題の一つである、スケーラビリティの問題も解決も図っています。性能自体への評価が高いので、将来性が高い仮想通貨(暗号資産)の1つだといえるでしょう。
COSMOSの運営に使われる仮想通貨が「ATOM(アトム)」です。
COSMOSを売買できる国内取引所
2022年12月現在、仮想通貨「ATOM」を売買できる国内の仮想通貨取引所はGMOコインのみです。GMOコインには2021年7月に上場されました。
GMOコインでは「ATOM」の販売所取引、つみたて暗号資産、貸暗号資産が可能です。いくつもの稼ぎからがあるところがメリットだと言うことができるでしょう。
本日のCOSMOS(ATOM)の時価総額や価格、市場占有率【2023年2月28日時点】
COSMOSの最新の時価総額やランキング、価格の情報は以下となります。
仮想通貨(暗号資産)名称 | Cosmos |
---|---|
単位(ティッカーシンボル) | ATOM |
価格(2023年2月28日時点 以下項目も同じ) | 1,537.62円(12.627854ドル) |
時価総額 | 440,327,422,513円 |
時価総額占有率(仮想通貨の総時価総額に占めるATOMの割合) | 0.3399% |
時価総額ランキング | 21位 |
市場流通量(循環している供給量) | 286,370,297ATOM |
COSMOS(ATOM)の歴史
COSMOSは2014年にJae Kwon氏が分散ネットワークの合意形成手法であるTendermintを考案し、Tendermint社を設立したのがはじまりです。
2016年、Tendermintの技術を用いたCOSMOSのホワイトペーパーが公表されました。さらに同年、COSMOSの開発をサポートする「Interchain Foundation(ICF)」が設立されています。
2017年には、ICFがCOSMOS開発の資金調達のため、ICO(新規仮想通貨公開)を行い、30分で1680万ドルを調達しました。
2018年、Tendermint社が異なるブロックチェーン間で通信するためのプロトコルである「Inter-Blockchain Communication(IBC)」の開発を開始しました。
ICOから2年後の2019年3月にCOSMOSのメインチェーンであるCOSMOS Hubをローンチし、同年4月に海外の大手仮想通貨取引所Binanceに上場しました。また、2021年3月にはIBCによる通信機能が有効化されています。
COSMOSの価格動向
COSMOSの2017年のICO価格は0.1ドルでした。
2019年4月の初上場から2020年末までは、1ドル〜9ドルの間を推移していました。しかし、2021年初めからDeFiブームの波に乗って急騰し、5月に32ドル台の当時の最高値を付けました。
そこから一旦下落するものの、同年9月には44.7ドルの過去最高値を記録しました。ICO価格から実に400倍以上に上昇したことになります。2022年現在は仮想通貨の冬の時代と言われており、再びCOSMOS(ATOM)の価格は安くなっていますが、ビットコインの次の半減期当たりには、COSMOSの価格もかなり上がっているのではないでしょうか。
COSMOS(ATOM)の特徴は?詳しく解説
COSMOSはどのようにしてブロックチェーンの相互運用を実現しているのでしょうか。
その特徴を詳しく解説します。
COSMOSを構成する4つの要素
COSMOSは、次の4つの要素で構成されています。
- COSMOS Network
- COSMOS Hub
- COSMOS SDK
- ATOM
この4つが組み合わさってCOSMOSの「The Internet of Blockchains(ブロックチェーンのインターネット)」を実現しています。
COSMOSの特徴を理解するため、まずは4つの要素を説明します。
COSMOS Network
異なるブロックチェーン間でやりとりできる通信網です。
Tendermint社が開発した、異なるブロックチェーン同士が通信するためのプロトコル「Inter-Blockchain Communication(IBC)」を使います。
COSMOS Networkにつながる個々のブロックチェーンをZone(ゾーン)と呼びます。Hubは、各々のZoneから送信されてきたトークンを、正しいZoneに送る役割を持っています。
COSMOS Hub
COSMOS Networkの中核としてHub(ハブ)となるブロックチェーンです。コンセンサスアルゴリズムにはDPoS(Delegated Proof of Stake)というPoSの変化形を採用しています。このHubを通じてZoneが接続されることになります。
COSMOS SDK
SDKとはSoftware Development Kitの略でソフトウェア開発キットのことです。COSMOS SDKは、COSMOS Networkに接続できるブロックチェーンを簡単に開発するためのキットです。
SDKはモジュール単位で構築と管理できるようになっているので、簡単に分散型プラットフォームを作ることができるという特徴があります。
ATOM
COSMOS Hubのネイティブトークンが仮想通貨「ATOM」です。
「ATOM」はDPoSのステーキングに使われたり、COSMOS Hub運営のガバナンストークンとして使われたりします。ステーキングをすると、定期預金の利息のような形で報酬を獲得できます。
では、次からCOSMOSの特徴を解説します。
相互運用の実現
冒頭で述べたように、COSMOSはブロックチェーン同士をつなぐことを目的としたプロジェクトです。
従来のブロックチェーンはそれぞれが独立しており、お互いにトークンや情報のやりとりはできませんでした。例えば、イーサリアム上のアプリケーションの手数料にビットコインは使えません。そのため、取引所で交換する必要がありました。
このような課題をインターオペラビリティ(相互運用性)の問題と呼びます。
COSMOSでは、COSMOS Hubを介して、COSMOS Networkにつながったブロックチェーン同士(Zone)がIBCで通信します。それにより、ブロックチェーン同士がシームレスにトークンや情報をやりとりする相互運用を可能としています。
スケーラビリティの実現
COSMOSは相互運用を実現することで、ブロックチェーン最大の課題のひとつであるスケーラビリティ問題の解消も図ろうとしています。
従来のスマートコントラクト型のブロックチェーンでは、ひとつのブロックチェーン上に多くのアプリケーションを構築する仕組みでした。取引の承認処理はメインのブロックチェーンが一手に引き受けています。
そのため、アプリケーションの数が増えて、ブロックチェーン全体の取引量が増えると処理の遅延や手数料の高騰が発生していました。これがスケーラビリティ問題と呼ばれるものです。
これに対して、COSMOSではアプリケーションを個々のブロックチェーンとして開発し、それをCOSMOS Networkにつなぐ構造となっています。各ブロックチェーンがそれぞれ取引の承認処理を行うため、COSMOS Network全体の処理が遅延するということがないのです。
COSMOSのエコシステム拡大には、COSMOS Networkにつなぐためのブロックチェーンをいかに簡単に作れるかがカギになります。
開発キットを提供
COSMOSでは誰もが簡単にブロックチェーンを作るための開発キットとして、COSMOS SDKを提供しています。
セキュアなブロックチェーンのアプリケーションを開発するには、専門的な知識と技術が必要になります。しかし、COSMOS SDKでは、C言語やJavaに似た使い勝手のGo言語で比較的簡単にCOSMOS Networkに接続可能なブロックチェーンを開発できます。
また、すでにイーサリアムなどほかのブロックチェーン上に作られているアプリケーションに対しても、Peg ZoneというCOSMOS Networkにつなぐためのツールを用意しています。
このように、COSMOSは開発者向けのツールを用意してエコシステムの拡大を図っています。
ステーキング報酬
仮想通貨投資の魅力の一つにステーキングによる高い利回りがあります。COSMOSでは、「ATOM」を預け入れることによるステーキング報酬を獲得できます。
ステーキングとは、PoSを採用するブロックチェーンで、トークンを預け入れることによりセキュリティ確保に貢献し、その報酬としてトークンを受け取るものです。PoSは、トークンの保有量や保有期間に応じてブロック承認の権利を割り当てるコンセンサスアルゴリズムを指します。
国内の仮想通貨取引所では「ATOM」のステーキングに対応していません。
Binanceなど海外の仮想通貨取引で行う方法と、CosmostationなどATOM対応ウォレットで行う方法があります。ステーキングしたトークンは、一定期間引き出せない点に注意が必要です。
ポルカドットとの比較
COSMOSと同じく、ブロックチェーン同士の相互運用の実現を目指すプロジェクトにポルカドット(DOT)があります。ライバル視されることもありますが、協力して力を発揮していく将来にも期待できるでしょう。
両者は比較されることが多いため、特徴を比べてみましょう。
両者ともHub and Spoke型のネットワーク
COSMOSはCOSMOS Hubを中心にZoneと呼ばれる個々のブロックチェーンがつながるHub and Spoke型のネットワークを構成しています。
一方、ポルカドットも同様に、リレーチェーンと呼ばれるハブにパラチェーンと呼ばれる個々のブロックチェーンがつながる構成となっています。
両者とも開発ツールを提供
COSMOSのCOSMOS SDKと同様に、ポルカドットもSubstrateという開発ツールを提供しており、両者とも接続するブロックチェーンの開発を促進し、エコシステムの拡大を図っています
セキュリティの共有に違いあり
よく似ている両者ですが、接続されているブロックチェーンのセキュリティの確保の仕方に違いがあります。
COSMOSは個々のブロックチェーンにセキュリティ(取引承認)を委ねているのに対して、ポルカドットはハブであるリレーチェーンが個々のブロックチェーン(パラチェーン)のセキュリティを担保しています。
現在の時価総額ではポルカドットがやや優勢ですが、COSMOSの盛り返しに期待しましょう。
なお、競合関係と見られがちな両者ですが、現在では相互に接続が可能となっており、共存してブロックチェーンの世界を広げる役割を担っていくのかもしれません。
COSMOSのエコシステム
COSMOSの公式サイトでは、263のアプリケーションとサービスがCOSMOSのエコシステムに組み込まれているとしています。ここでは、COSMOSを活用した2つのプロジェクトを紹介します。
Binance DEX
Binance DEXは世界最大手の仮想通貨取引所であるBinanceが作った分散型取引所です。COSMOS hubと同じ2019年にローンチされました。
BinanceはCOSMOS Network上にCOSMOS SDKで独自のブロックチェーン「Binance Chain」を構築し、そこでBinance DEXのサービスを展開しています。
トヨタファイナンシャルサービスによる実証実験
トヨタファイナンシャルサービスが行なった、ブロックチェーンによる車両の価値証明と所有権移転の実証実験にCOSMOSが採用されています。COSMOSの基盤技術であるTendermintを元にHypermintというブロックチェーンを自社開発し、NFTで車両の所有権を管理するということです。
COSMOSの将来性
ここまで見てきたように、COSMOSは2014年のTendermintの考案、そして、2016年のホワイトペーパー公表から着実に歩みを進め、エコシステムを拡大しています。
今後ブロックチェーンの活用が広がるにつれて、「つなぐ」役割の重要性は増していくでしょう。その時には、その中心にCOSMOSがいるかもしれません。
COSMOS(ATOM)の将来性や今後の価格の予想
COSMOS(ATOM)の将来性や今後の価格の予想をここで説明いたします。
COSMOS(ATOM)のエコシステムを使っているプロジェクトとしてはBNB Smart Chain(旧:Binance Smart Chain)やDeFiプラットフォームのKavaなどがあることからも、期待値の高さがうかがえます。
2022年12月は1,400円程度の価格にあり、過去の6,000円台からすると価格は落ちていますが、先月よりは価格上昇しています。仮想通貨は、一度価格を抑えてから、次の波で過去最高価額を更新するという歴史を持っているのですが、他のアルトコインほどはCOSMOS(ATOM)は価格が下落していません。
これは、COSMOS(ATOM)の将来性を市場が高く評価しているからであり、次の仮想通貨市場の上昇トレンドでは、7,000円台や10,000円になってもおかしくないでしょう。今後の価格の予想としては、過去最高価額を超えた時点で、チャート上は抵抗線がほとんどなくなり、青天井に価格が上がることを予想する声も多いです。
COSMOS(ATOM)の今後の価格が上がるためのポイントとしては、上記の通りの「仮想通貨の上昇トレンド」「新規の取引所への上場」「パートナーシップの増加」「技術開発のニュースによる知名度の更なる上昇」が重要で、これらが満たされると、仮想通貨としての値段が上がっていくでしょう。
COSMOS(ATOM)のまとめ
今回は、COSMOSについて以下のような特徴を解説しました。
- ブロックチェーン同士を相互運用するためのプロジェクト
- スケーラビリティ問題の解消も図る
- ステーキング報酬が可能
- ブロックチェーン開発キットを提供しエコシステムを拡大中
COSMOSに将来性を感じたり、今後の価格が長期的に上がると予想される方は、今のうちにチェックしておいてはいかがでしょうか。