Monero(XMR/モネロ)はプライバシーを守る、検閲に強い特徴を持っている仮想通貨です。
ビットコインやイーサリアムなど、多くの仮想通貨は透明性のあるブロックチェーンを備えていますが、その取引は世界中だれでも検証・追跡が可能です。
一方でMoneroは既存の仮想通貨と一線を画し、ユーザーのプライバシーを確保するために、さまざまな技術を用いていられています。そんな独自の強みを持った銘柄の「Monero」について詳しく解説します。
Moneroとは?
先述した通り、Moneroは機密性が高く、匿名性やプライバシー保護の性能に優れた仮想通貨です。Monero利用者は身元も指定先以外の第三者から送金された金額も隠すことができます。
ただ、その匿名性の高さゆえに、「マネーロンダリングなどの犯罪に悪用されるのでは」と以前から懸念されていました。
そのため、日本の仮想通貨取引所ではコインチェックで2018年まで取り扱いがあったものの、犯罪への懸念から取り扱いが廃止されています。
Moneroは2014年、ビットコインやネームコインの開発に携わった技術者・投資家の7人で開発されました。Moneroの名称の由来はエスペラント語で、「コイン」「硬貨」という意味です。エスペラントとは、世界共通の国際補助語として開発された言葉ですね。
Moneroを購入できる仮想通貨取引所
Moneroは2022年12月現在、日本国内での仮想通貨取引所では取り扱いがありません。
しかしMoneroの人気は高いため、海外では多くの仮想通貨取引所で取り扱っています。
世界最大級の仮想通貨取引所である「BINANCE」や「KuCoin」「Bitfinex」「Poloniex」、「HitBTC」などで購入することができ、BINANCEのように日本語に対応しているところもありますので、購入のハードルはそれほど高くはないといえるでしょう。コインチェックで口座を開設すると、BINANCEに送金してMoneroをはじめとする世界中の仮想通貨を買うことができます。
時価総額が高い
Moneroの人気は高く、数多くの仮想通貨のなかでも時価総額で上位にランクインしています。
新しい仮想通貨は次々と出てきていますが、時価総額の低い仮想通貨は「草コイン」という言葉に当てはめられるように、ほとんど価値がありません。
なかにはブレイクして高騰するケースもあるものの、多くの価値のない仮想通貨はいずれ消えていくことでしょう。そのような仮想通貨に対して、Moneroは時価総額が上位で人気もあるということで、価値は高いといえます。
本日のMonero(XMR)の時価総額や価格、市場占有率【2023年2月28日時点】
Moneroの最新の時価総額や時価総額ランキング、価格、市場占有率(シェア)の情報は以下となります。
仮想通貨(暗号資産)名称 | Monero |
---|---|
単位(ティッカーシンボル) | XMR |
価格(2023年2月28日時点 以下項目も同じ) | 17,957.68円(147.479593ドル) |
時価総額 | 327,655,488,762円 |
時価総額占有率(仮想通貨の総時価総額に占めるXMRの割合) | 0.2529% |
時価総額ランキング | 27位 |
市場流通量(循環している供給量) | 18,245,985XMR |
Moneroの歴史
Moneroの初上場は2014年5月で、上場当時は1XMRあたり約2.5ドルとなっており、2017年中旬までは特に大きな値動きもなく推移しています。
しかし2017年後半から2018年前半にかけて仮想通貨バブルが起こったため、多くの仮想通貨が大きく上昇し、Moneroも同様に高騰しました。ただ、Moneroの場合は他にも理由が考えられます。
ひとつはアメリカの証券取引所の動きです。ビットコインの上場投資信託(ETF)がアメリカの証券取引所で否決されたことで、資金がMoneroなどのアルトコインに流れました。
もうひとつは韓国の大手仮想通貨取引所「Bithumb」への上場で取引量が急激に上がったことです。2017年の仮想通貨バブルは長くは続かず、2018年にはバブル崩壊したため、最高で約400ドルだった価格が2018年の終値では54ドルまで急落しています。
Moneroは他の仮想通貨と違って匿名性が高いことが特徴ですが、ヨーロッパやアメリカなどでは匿名性のある仮想通貨は犯罪に使われると懸念され、規制強化に向けて動いています。
実際、ヨーロッパの警察機構である「ユーロポール」はMoneroなどのプライバシー強化に特化した仮想通貨を一番の脅威に挙げているのです。
これだけ目をつけられると、投資家の間で暴落を懸念する動きが広がりそうなものですが、Moneroに追い風が吹きます。
2020年、仮想通貨市場全体が再び上昇傾向に転じた上、規制強化の動きが逆にMoneroに対する注目を集めるかたちとなり、Moneroは下落どころか高騰しました。
Moneroの特徴は?詳しく解説
Moneroにはどのような特徴があるのか、詳しく解説します。
優れた匿名性
多くの仮想通貨は透明性のあるブロックチェーン技術を利用しているため、だれがどのような取引をしたかがわかるようになっています。
一方でMoneroの場合は、匿名性に優れており、取引をした当事者のプライバシー保護に強いです。匿名性が高いことから、だれがだれに送金したかという情報が当事者以外から特定できないようになっています。
つまり、優れた匿名性をもつMoneroは情報の流出および不正アクセスを防ぐことができるのです。
Moneroの匿名性が高いのは「CryptoNote」というプロトコルのなかで使われている「Bytecoin」のソースコードを元にした、匿名性に特化したアルゴリズム「CryptoNight」を利用しているからです。
Moneroは他にも「リング署名」や「ステルスアドレス」という技術を搭載しています。
リング署名とはデジタル署名のひとつで、他の取引のなかに送金者情報をまぎれこませることにより、情報を特定できないようにする仕組みのことです。
リング署名を使った内容は特定のグループのだれかに承認されますが、署名者どうしについては特定や区別をすることはできません。
ステルスアドレスとは送金時、一時的なワンタイムアドレスをつくってとりひきすることにより、情報を第三者にはわからないようにする技術のことです。
Moneroのアドレスの場合、「閲覧用」と「送金用」の2種類の秘密鍵がつくられます。アドレスがマスターキーとしての役割となり、送金ごとにランダムなワンタイムアドレスができます。
送金時、一旦はワンタイムアドレスあてに送信されますので、仮に第三者がマスターキーとなる元のアドレスにアクセスしたとしても、取引内容は確認できません。このように、Moneroの匿名性は非常に優れているものの、だれでも利用できることから、悪用が懸念されています。
普通のPCでマイニングできる
Moneroは一般に使われている、普通のパソコンでマイニングが可能です。ビットコインなどの他の仮想通貨の場合、スペックの高いパソコンを使わないとマイニングできません。
仮にハイスペックなパソコンを用意できたとしても、マイニングのために長時間稼働させる必要がありますので、非常に多くの電力を使用し、電気代が高くなります。
さらにパソコンは熱を発しますので、冷却も必要です。このように、仮想通貨のマイニングは設置する環境を確保し、設備を維持するために資金を投資することが欠かせませんでした。
一方、Moneroの場合は家庭で使われているパソコンなど、通常の使用に支障のない程度のスペックであればマイニングできます。マイニングのハードルが低い点はMoneroの大きなメリットといえるでしょう。
ただ、普通のスペックのパソコンでマイニングできることは、悪用されやすいという懸念もあります。
実際にハッカーが企業のパソコンなどの計算能力を乗っ取り、Moneroをマイニングさせる「クリプトジャッキング」という被害も報告されています。
匿名性の高さと同様に、マイニングのしやすさは一般の利用者にとっては非常にありがたいものではありますが、それが犯罪者にとっても使いやすいツールとされてしまうことがあるのです。
送金が速い
Moneroは送金完了のスピードが非常に速いのも特徴です。
ビットコインの場合は送金に約10分かかり、他の仮想通貨も10分近くかかることが珍しくありません。
しかしMoneroの場合、約2分で送金が完了しますので、ビットコインと比べると約5分の1です。
また、Moneroにはブロックサイズの制限がないため、ビットコインやイーサリアムで課題となっている「スケーラビリティ問題」が起こりにくいのも特徴です。
仮想通貨は法定通貨よりも送金の速さが優れていますが、Moneroは仮想通貨のなかでも特に送金が速いといえます。
他の仮想通貨も送金スピードをさらに改善すべく取り組んでいますが、Moneroは仮想通貨のなかでも送金においては先に進んでいるといえるでしょう。
今後のMoneroについて
では、ここからMoneroの今後の展開についてどのようになっていくのか解説していきます。
Moneroの評価
Moneroはプライバシー保護に優れていますが、そのメリットは悪意をもった人でも利用できるため「犯罪者に好まれる仮想通貨」というイメージがついてしまっており、それがMoneroのマイナス評価につながっています。
実際にサイバー犯罪をおこなっている人が身代金をMoneroで用意するよう指示する事例も発生しており、犯罪者から自分の特定を防げる仮想通貨として重宝されているのです。このような犯罪で利用される点に関しては、開発者の工夫で何とか乗り越えて欲しいところです。
犯罪に使われているという事実は当然、世界各国も把握しており、当局が規制を進めています。
日本でも犯罪への懸念から、2018年にMoneroの取り扱いを廃止して以降、新たに取り扱いを開始する仮想通貨取引所が現れていません。
Moneroのマイナスイメージが払拭できないと、保持しているMoneroの価格が上昇したとしても他の通貨と交換したり、使用したりすることができなくなる事態もありえます。
仮想通貨のなかでも時価総額が高く、上位にランクインするほど人気があるMoneroですが、今後の動向については最新情報をチェックしていく必要があるでしょう。
国内での取り扱い状況
Moneroは2022年12月現在、日本国内の仮想通貨取引所での取り扱いがありません。
以前はコインチェックでのみ取り扱いがあったものの、犯罪に利用されるのではという懸念から、2018年6月に廃止されています。日本などは特に規制が早い国の1つなので、Moneroが上場廃止されたのも、理解できますね。
Moneroは仮想通貨のなかでも時価総額が高く、現状は世界的にも人気のある仮想通貨であるため、Moneroを取り扱っている海外の仮想通貨取引所はたくさんあります。
ただし、海外の仮想通貨取引所は日本の金融庁の認可を受けていません。
そのため、利用する場合は何が起こっても自己責任となってしまいますので、情報を十分に集めて慎重に判断する必要があるでしょう。現在は、主要なところですと、BINANCEやKuCoin、Bitfinexなどで取り扱いがありますので、意外と世界の大手で取り扱いがあるのも事実です。
海外での取り扱い状況
Moneroを取り扱っている海外の仮想通貨取引所は現状ではまだ多いものの、取引者が特定できないことやマネーロンダリングに利用されやすいなどの懸念により、取り扱いを廃止する取引所が増えてきています。
ただ、Moneroに注目が集まることで価格も上昇するため、Moneroの需要が拡大することにより、取り扱いを改めて検討する仮想通貨取引所が出てくるのではと考えるトレーダーもいます。
しかし金融の場合、各国の規制の動きは決して無視できません。
Moneroの需要が伸びているとはいえ、アメリカやヨーロッパでさらに規制を強化する動きが進むなら、Moneroの今後の見通しは不透明であるといえるでしょう。
今後のMonero
ここまで解説してきたとおり、Moneroは匿名性が高く、プライバシー保護に優れていますが、それゆえに犯罪への悪用が懸念されています。Moneroは取引の内容を第三者に特定されにくいことから、今後も悪意のある人がマネーロンダリングに利用する可能性があります。
日本のコインチェックが悪用への懸念から取り扱いを廃止したように、世界各国でもMoneroに対する規制の動きが強まれば、価格にも少なからず影響を受けることでしょう。
しかし時価総額で上位にランクインしているとおり、他の仮想通貨にはない魅力がMoneroにはあります。そのため、取り扱っている仮想通貨取引所がある限りは今後も伸びていくと予想されます。Moneroが今後、アメリカやヨーロッパ各国でどれぐらい規制が進められるのか、見通しが立っていません。
日本の仮想通貨取引所で取り扱いがないことから、海外の仮想通貨取引所で購入を検討する人もいるでしょうが、日本の金融庁の認可を得ていない海外の取引所を利用するのはリスクがあります。
Monero(XMR)の仮想通貨(暗号資産)としての今後の価格の予想は簡単ではないのですが、匿名性が各国政府から敬遠されつつも、ここまでの時価総額を誇っているので、リスクを残しつつも、更に価格が上がる可能性も大いにあるでしょう。規制が強まって価格が低迷するか、異様な需要となり価格が上がるか、どちらの予想もあるので、ある意味では大きなリスクとチャンスがある投機になってきてはしまうと思います。
Moneroのまとめ
今回はMoneroについて詳しく解説してきました。セキュリティに強いMoneroは現在国内の仮想通貨取引所では取り扱いがございません。
もし、購入したい場合は「BINANCE」など海外の仮想通貨取引所を使って購入しましょう。また、日本国内で取引する場合は、国内取引所の開設が必要となりますので、まずは人気のあるコインチェックから開設してみてはいかがでしょうか。