オーエムジーは日本国内でも取り扱われている人気の仮想通貨(暗号資産)の一つです。
2020年7月に日本の大手仮想通貨取引所であるGMOコインで取り扱いがスタートして、その後、2021年にコインチェックなど日本国内の他の仮想通貨取引所でも取り扱われるようになりました。
オーエムジーは日本国内の仮想通貨取引所で取り扱われるようになってから、日本国内での価値が上がり、価格が上昇した、投資家に人気の仮想通貨です。
ただし、OMG Networkに関しては2021年にBOBA Networkに業務移転を行い、OMG保有者には仮想通貨BOBAがエアドロップされたのです。エアドロップとは、無償で配られたということですね。
この記事でははオーエムジーとは何か、歴史や今後の価格の予想、特徴、強みについて詳しく解説します。
オーエムジー(OMG)とは?
オーエムジーはイーサリアムを基盤に開発された、OMG Network上で使われる独自の仮想通貨です。
イーサリアムのブロックチェーン上で利用でき、イーサリアム規格のトークンであるため、分散型取引所で同じイーサリアム規格のトークンと簡単に交換可能です。
OMG NetworkはイーサリアムおよびERC-20トークンを送るためのネットワークで、2017年にOmiseGoとして開発され、運営がスタートし、人気になりました。その後、2020年6月1日にOMG Networkにリブランディングされました。
OMG Networkの目的は高速で安価な、しかも安全でオープンである金融サービスの提供を実現することにあります。
OMG Networkはイーサリアムが持っているスケーラビリティの問題を解決することを目指しています。
イーサリアムはブロックサイズの上限が設定されているため、イーサリアムもしくはERC-20トークンを送るときに遅延が発生し、送金手数料が高くなってしまいます。それがスケーラビリティ問題です。
OMG Networkは「More Viable Plasma」と呼ばれる仕様を基本としてネットワークを構築しています。1秒あたり数千件の処理ができるように開発されており、取引手数料はイーサリムと比べて約3分の1です。
オーエムジーの2022年12月現在の時価総額ランキングは全世界で第135位で、前月より5位だけ落ちてますが、一定の人気を保っていると言えます。
オーエムジーは『Omise』の代表をしている長谷川潤氏が中心となって開発されました。
長谷川潤氏は1981年に神奈川県で生まれ、高校卒業後に単身渡米し、Webエンジニアになりました。帰国後は複数の起業を経て、2013年にタイでOmiseを創業、OMG Networkの開発・運営を手がけることとなりました。「日本の企業家ランキング2020」では4位に選ばれています。
長谷川潤氏は日本向けのサービスを軸として新たな事業展開を目指しており、その中心となるオーエムジーについては複数の日本企業も出資しており、日本との関わりも大きいプロジェクトです。
Omiseは2013年に設立された、オンライン決済サービスがメインのフィンテック企業です(フィンテックとは、金融サービスと情報技術を融合する動きを指し造語です)。
タイを本拠地として、日本やインドネシア、シンガポール、マレーシアなど、アジアを中心としてサービスを展開しています。さらに、アドバイザーにイーサリアムの提唱者「ヴィタリック・ブテリン」氏がいることも注目される大きな理由の一つとなっています。
OMG Networkは2020年12月、香港を拠点とする仮想通貨投資企業のベンチャー子会社『Genesis Block Ventures(GBV)』に買収されました。買収をおこなった企業は分散型金融(DeFi)の投資企業として知られています。買収にともない、GBVはOMG Network上でDeFiのレンディングサービスと取引プラットフォームを構築する計画を公開しました。GBVは大手仮想通貨取引所のバイナンスやFTX(仮想通貨のデリバティブ取引所のひとつ)との友好関係を活かして、アジアを中心とするOMG Networkの開発と普及を推進していく方針です。
ただ、現在ではBOBA Networkに移行が行われているので、OMGとして普及を推進するのではなく、BOBAとしての開発になってきます。
OMGの価格や時価総額、仮想通貨市場シェアのランキングなどは、下記の表のとおりです。
仮想通貨(暗号資産)名称 | OMG Network |
---|---|
単位(ティッカーシンボル) | OMG |
価格(2023年2月28日時点 以下項目も同じ) | 215.67円(1.771179ドル) |
時価総額 | 30,246,097,270円 |
時価総額占有率(仮想通貨の総時価総額に占めるOMGの割合) | 0.0233% |
時価総額ランキング | 145位 |
市場流通量(循環している供給量) | 140,245,399OMG |
オーエムジー(OMG)の歴史とその価格推移
オーエムジーはどのような歴史をたどってきたのか、又、その価格推移を詳しく解説します。
上場
オーエムジーは2017年7月に初上場を果たしました。初上場時の価格は約68円でしたが、2ヶ月後の2017年9月には約1,200円まで上昇しました。
しかしそこから価格が下落し、2017年11月に約550円まで下がってしまいました。
オーエムジーは安定しない動きを見せながら、2018年1月に急激に価格上昇し、約2,750円まで上昇しました。
安定期
オーエムジーは2020年、安定期に入ります。2020年5月からは約160円~180円台で推移し、仮想通貨は価格が大きく変動するのが普通なのですが、オーエムジーについては価格が比較的安定していた時期でした。
それでも2020年8月に急激な価格上昇により、一時約830円に迫る勢いを見せます。ただし、そのまま価格上昇が続くことはなく、価格は下落しました。
日本国内で上場
オーエムジーは2021年4月7日、日本国内の大手仮想通貨取引所『コインチェック』に上場しました。
コインチェックは日本でも有数の大手仮想通貨取引所のため、多くの注目を集めました。オーエムジーの価格は一気に上昇し、その勢いは衰えることがないまま、2021年5月7日に1,400円を突破しました。
その後、5月下旬までに大きく下落して、2021年6月と7月には約300円と、わずか1ヶ月過ぎたところで価格は約5分の1まで下落してしまいました。
しかし2021年8月になると価格が少しずつ回復していき、9月上旬に再び価格上昇の動きを見せます。ついには約1,050円まで上昇しました。
さらに2021年10月3日、価格はさらに急上昇を見せて、約1,900円を突破、この価格は2019年以降では最も高い価格となりました。
この頃の価格上昇には原因があります。価格上昇の背景にオーエムジー以外の他の仮想通貨価格が上昇していたことに加えて、仮想通貨『BOBA』がオーエムジー保有者にエアドロップされると発表されたことがあげられます。
仮想通貨におけるエアドロップとは、様々な仮想通貨取引所で開催されるイベントで、無料で仮想通貨やトークンが配布されることをいいます。エアドロップは資金調達したい企業が発行するトークンについて、知名度を高めるためのマーケティング活動の一環として利用される場面が多くなっています。
BOBA Networkに移行していることから、今後はOMGのファンがBOBAファンとして残っていくのではないかとも予想されます。
オーエムジー(OMG)の将来性と今後の価格の予想
OMGの将来性や今後の価格について解説します。ネットワークがBOBAに移転してしまっていることから、OMGとしてサービス開発が停止しているため、基本的にはその役割や資産価値を持つコインであるという点に尽きると言えます。
オーエムジー(OMG)の将来性
オーエムジー(OMG)の将来性ですが、その用途という面においては、市場があるために売却価値はあるけれど、BOBAに移行しているためにサービスの展開や普及を期待するということはできないかと思います。
OMGへの期待はBOBAへを引き継がれているので、そちらのサービス開発に期待していきたいと言ったところになります。もちろん、マーケットでの取引は行われていますので、保有することに意味がないということではありません。
OMGの今後の価格の予想
OMGの価格に影響する要素には次のようなものがあります。
1.サービスの開発や普及
2.国内や海外の新規取引所への上場
3.BTC(ビットコイン)をはじめとする仮想通貨全体への資金流入の増加
残念ながら「1」の開発や普及が期待できないので、「2」の上場の可能性も低くなると考えられますので、仮想通貨市場が盛り上げることで価格が上がったりはするものの、徐々に時価総額ランキングの順位を落としていくという予想をすることもできます。
したがって、今後の価格としては再び20ドルを超えるのは簡単ではなく、過去最高価額(ATH)の25.62ドルには達することができない可能性が高いという声も聞こえてきます。
BOBAに移行したのであって、エアドロップも行われているので、そちらの価格上昇に期待するという人が多いのではないでしょうか。
ただ、思いのほかOMGの価格は落ちず、現在も高い水準の時価総額なので、価格に期待している人もいると考えられます。
オーエムジー(OMG)の特徴は?詳しく解説
オーエムジーはどのような特徴をもつ仮想通貨なのか、詳しく解説します。
ハイスピード・低コスト
オーエムジーの最大の特徴は、トランザクションの処理スピードが高速化して、低コストを実現していることです。処理スピードが速いこと、コストが安く抑えられていることは、オーエムジーが仮想通貨のなかでも優位なポイントです。
OMG Networkはイーサリアムを基盤としています。
イーサリアム自体は知名度も取引量も多いのですが、仮想通貨初期に設計されているため、ブロックサイズに上限があるという問題を抱えています。
そのため、イーサリアムにトランザクションが集中すると、処理が遅延し、取引コストが高騰してしまいます。
一方、オーエムジーはイーサリアムの技術を取り入れながらも、イーサリアムの問題を解決することを目指しており、処理スピードの速さ、低コストはイーサリアムに対して大きなアドバンテージとなります。
ただ、今はOMG Networkはサービスが停止し、BOBA Networkとなっているので、こちらでアドバンテージを生かして欲しいですね。
安全
OMG Networkは独自のブロックチェーン技術『MoreViablePlasma(MoreVP)』が使われています。MoreVPはサイドチェーンを使うことで複数のトランザクションをグループ化しています。普通、トランザクションは1つずつ処理されますが、MoreVPではまとめて1つのトランザクションとして扱うことができます。
オーエムジーはMoreVPの他に『Minimal Viable Plasma』というプラズマチェーンを使用しているため、セキュリティが固く、信頼性が高いといえます。
確認署名の扱いと取引の信憑性の判断基準が違う2つのプラズマチェーンを使っているということは、すべての当事者が署名することになり、取引を検証することを保証しています。
つまり、高度な技術が安全性を保証しているのです。
取引が簡単
OMG Networkはオープンバンキングで、デジタル金融サービスを提供しており、オーエムジーを使用することで、スマホ一台で決済ができます。
オープンバンキングとは、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を使い、当事者間で様々な金融データを共有するビジネスモデルです。オープンバンキング自体は特別なものではありませんが、使用者側にとっては商品やサービスの選択肢を広げる新しい方法です。
世界にはまだまだたくさん、貧しい国と人々がいます。世界の発展途上国には銀行口座を持つことができないために、優れた金融サービスを受けられない人が少なくありません。
しかし、OMG Networkは使用するためのデバイスとネット環境さえあれば、銀行口座がなくてもデジタル金融サービスを受けられるのです。特にタイを中心とする東南アジアで普及してきています。
OMG Networkは性能も高いため、今後、OMG Networkを使ってデジタル金融サービスを受ける人が増えることが期待されていましたが、今はBOBA Networkに移行したので、BOBAの金融サービスを受ける人が増えていくでしょう。
オーエムジー(OMG)の強み
ここまでオーエムジーとは何か、歴史と特徴について説明してきました。
オーエムジーの強みをBOBAで活かして欲しい
オーエムジーは決済企業『Omise』が開発母体なのが強みです。銀行口座をつくれない人が珍しくない発展途上国では、本人確認がなくても安全に利用できるブロックチェーン技術が必要です。
同じ技術を使用しているイーサリアムについては、決済時間が長く、送金手数料が高いため、自由に使える人が限られてしまいます。
それに対し、オーエムジーなら決済処理スピードが速く、送金手数料も安い、さらに少額決済も可能という、オーエムジーのメリットを活かせます。
実際、タイのマクドナルドでは2017年から、オーエムジー支払いに対応しています。世界的大企業のマクドナルドがオーエムジーを決済方法として取り入れているという事実が、金融決済会社が開発母体であるという強みを反映しています。
Omiseが開発している『OmiseGo』という仕組みは、スマホのキャッシュレス決済で、日本でいう『PayPay』や『LINE Pay』のようなものなので、どれだけ使いやすいかはイメージしやすいことでしょう。
BOBA Networkとして、OMGの強みを引き継いで、生かして欲しいですね。
テザーが稼働
OMG Networkでテザーが稼働するようになったのも大きなメリットです。
テザーはドルと連動するように設計されたステーブルコインのひとつで、価格変動が激しい仮想通貨で利益確定などをするときに重要視されています。
オーエムジーにとって、テザーの発行は大きな追い風で、投資家もオーエムジーに投資しやすくなります。そのため、OMG Networkへの資金流入が増える可能性があります。
なぜなら、テザーに採用されているということが、オーエムジーの信頼の高さを保証する安心材料になるからです。
リアルな店舗の決済では、仮想通貨より価格が安定しているテザーのような通貨が好まれる場面も少なくありません。
高い期待
2020年6月、OMG Network(BOBAに移行済み)の親会社『SYNQA』は、トヨタファイナンシャルサービスや三井住友銀行、SBIインベストメントなどから8,000万ドルを資金調達しました。
なぜそれだけ多くの資金が集まったかといいますと、どの企業もOMG Networkがもつ高いブロックチェーン技術を自社のサービスに活かしたいと考えているからです。
その期待の大きさにより、オーエムジーは日本のブロックチェーン技術推進の架け橋となるかもしれません。
オーエムジーは世界的大企業のTOYOTAとも連携しています。2020年12月にはSYNQAとトヨタファイナンシャルサービスのパートナーシップが発表されました。
このパートナーシップにより、TOYOTAがもつTOYOTA Walletの成長を加速させることが期待されます。
大手企業と組むということは、オーエムジーの信用を担保します。今後も大手、中小企業にかかわらず、様々な企業と提携していくでしょうから、オーエムジーのネットワークを引き継いだ、BOBAの将来は明るいといえます。
オーエムジー(OMG)まとめ
オーエムジーは同じ仮想通貨であるイーサリアムとブロックチェーンの仕様が同じため、基本的にはイーサリアムの価格と連動しています。イーサリアムは人気の仮想通貨ですので、イーサリアムとの価格連動がプラスに働くことも多いですが、価格が安定しないのが仮想通貨の特徴でもありますから、イーサリアムと一緒に暴落することもあるでしょう。
先進国はなく、東南アジアを中心とした発展途上国で広がっているオーエムジーは、日本国内ではまだまだなじみがないものの、東南アジアでの認知度は十分です。
これからは移行後のBOBA Networkが後継となるので、更なる開発の進展と普及に期待したいですね。
OMGコインを取得した場合には、コインチェックで買ってみても良いでしょう。