Smooth Love Potion(スムーズ・ラブ・ポーション:SLP)とはブロックチェーンを利用したNFTゲーム「Axie Infinity(アクシーインフィニティ)」のゲーム内で稼げる仮想通貨です。リアルタイムのチャートも丈夫にあるのでご参考としてください。
今回は、SLPの歴史や特徴、今後の価格予想について詳しく解説していきます。
Smooth Love Potion(SLP)とは?
NFTゲームで注目を浴びている、Axie Infinity(アクシーインフィニティ)はNFTゲームとは仮想通貨の取引で活用されるブロックチェーンを基盤にして作られたゲームのことで「ブロックチェーンゲーム」と表現されることもあります。
またNFT(Non-Fungible Token)とはコピーができない唯一無二のデジタルデータのことで、NFTゲームではゲーム内の多くのキャラクターやアイテムがNFTになっており、ゲーム内のマーケットプレイスで売買することができます。
ブロックチェーンゲームを紹介するメディア「Blockchain Game Info」によるとAxie Infinityはイーサリアムの取引高で常に上位に入る人気のゲームです。
世界で多くのプレイヤーが注目するAxie InfinityはAxie(アクシー)と呼ばれるモンスターを使って戦う対戦ゲームです。
対戦はコンピューターと戦う「アドベンチャー」と他のプレイヤーと戦う「アリーナ」の2種類があります。
アドベンチャーで勝てば経験値がたまり、アリーナで勝てば報酬としてSLPがもらえる仕組みになっています。このSLPは海外取引所で売れますし、ゲーム以外で取引所で買うこともできます。日本国内のコインチェックでイーサリアム(ETH)を海外取引所に送金して、SLPを購入することができます。
なお、開発会社Sky Mavis(スカイメイビス)によると対戦のバトル方式は日本のゲーム「ファイナルファンタジータクティクス」や世界で4000万ダウンロードを超える人気モバイルゲーム「アイデル・ヒーローズ(Idle heroes)」を参考に構築されたようです。
Axie Infinityでは対戦だけではなく、アクシーを2体交配させる「ブリード」で新しいアクシーを生み出すことも可能です。さらに、土地を購入することもでき、保有した土地でゲームに役立つ資源を手に入れることもできます。
SLPの時価総額や過去最高価格に関しては以下の表のとおりです。
仮想通貨(暗号資産)名称 | Smooth Love Potion |
---|---|
単位(ティッカーシンボル) | SLP |
価格(2023年2月28日時点 以下項目も同じ) | 0.39888193円(0.003276ドル) |
時価総額 | 16,943,646,290円 |
時価総額占有率(仮想通貨の総時価総額に占めるSLPの割合) | 0.0131% |
時価総額ランキング | 194位 |
上場以来の最高価額(ATH) | 0.399USドル |
市場流通量(循環している供給量) | 42,477,848,790SLP |
Smooth Love Potion(SLP)の歴史及びこれまでの価格推移
Smooth Love Potion(SLP)が稼げるAxie Infinityは2018年にベトナムのゲームスタジオ「Sky Mavis」からリリースされました。
Sky MavisのCEOであるチュン・グエン(Trung Nguyen)氏は子供のころに日本文化に触れる機会が多くあったようです。
ポケモンが大好きで、ワンピースなど日本の漫画をよく読み、友達とカードゲーム「遊戯王」で遊んでいたグエン氏はAxie Infinityのために開発したサイドチェーンに日本語の名前を付けています。
Axie Infinityはリリース当初、イーサリアムのブロックチェーンを利用していましたが、イーサリアムはユーザーの増加による処理遅延の問題(いわゆるスケーラビリティ問題)に直面していました。
問題を解決するため、Sky Mavis はAxie Infinity専用のイーサリアムのサイドチェーン「Ronin(ローニン)」を開発し、2021年2月から稼働しています。
独自に開発したRoninを導入したことにより、ゲーム内での取引で発生するガス代と呼ばれる手数料の削減や取引スピードの改善、新規プレイヤーがゲームをスタートさせる際の手続きの簡素化などが実現しました。
なお、Roninは日本語の「浪人」から名付けており、組織から外れても自分の力で生活した浪人のように自分たちの商品の運命は自分たちが決めたいという思いを込めているようです。
Axie Infinityは特にフィリピンでの人気が高く、ゲームをプレイする約35パーセントから40パーセントがフィリピンのプレイヤーであると発表されています。
ゲーム内で報酬として貰えるSLPは東南アジアや中南米のいわゆる発展途上国といわれる国々の人にとって、月収を超える収入を得るチャンスがある魅力的なものですが、その中でもなぜフィリピンでこれほどの人気があるのでしょうか?
多くのフィリピン人がAxie Infinityをプレイする理由は明確にされていませんが、英語教育が日本を含む他のアジアの国より進んでいる事(Axie Infinityで使われる言語は英語のみ)が要因のひとつと考えられます。
また、フィリピンの22歳の青年がAxie Infinityをプレイして得たSLPにより2軒の家を購入したニュースもフィリピンでより多くの人がAxie Infinityに注目するきっかけとなったようです。
SLPを効率よく稼げることが人気のひとつであるAxie Infinityですが2022年2月にゲーム内でSLPを稼げる方法が大きく変わりました。
それまでは以下の3つの方法でSLPを稼ぐことができました。
ルナシア遺跡(Lunacia Ruins)を巡る冒険の中で敵(コンピューター)と対戦するモード。
他のプレイヤーと対戦するモード。
チェックイン、アドベンチャーでステージを10回クリア、アリーナで5勝する、の3個の条件をクリアすればSLPがもらえる仕組み。
2022年2月からは、他のプレイヤーと対戦するアリーナで勝利した場合のみSLPがもらえ、今まで獲得できていた他の方法でのSLPの付与は廃止になりました。
他のプレイヤーとの対戦に多く勝利し、たくさんのSLPを獲得するのは特にゲームを始めたばかりの初心者には簡単なことではありません。先行して始めているプレイヤーは強いものですので。
新規プレイヤーが参加しづらくなる可能性や、既存のプレイヤーが離脱する可能性も考えられるなか、運営側がこの決断にいたった理由はSLPが危機的なインフレ状態にあったからです。
公式発表によるとSLPは一日あたりの消費量に対して、約4倍のSLPが供給されている状態が続いていました。Sky MavisはSLPの供給が少なくなることにより、SLPの価格が回復することを期待しています。
価格推移としては、2020年末の時点では2円程度でした。その後2021年には一時的に40円を突破するなどして大いに話題を集めました。2022年になるとビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)やリップル(XRP)などの時価総額の大きい通貨と同様に調整中ですが、SLPの場合には、ゲームで稼がれるコイン数がかなり多いために、それが売り圧力になってしまっているという原因もあります。
Smooth Love Potionの特徴は?詳しく解説
ゲーム内の大幅なルール改正により今後の値動きが注目されるSLPですが、ここからはSLPの獲得方法や使い方などSLPの特徴について詳しく解説していきます。なお、NFTゲームでいくらくらい儲かるのか、事例を知りたい人は下記のページをご覧ください。
アリーナ
アリーナは他のプレイヤーと対戦するモードで、ここで勝利すると報酬としてSLPを獲得することが可能です。
アリーナモードではMMR(マッチメイキングレーティング)と呼ばれるプレイヤーを評価するシステムが導入されており、実力が違いすぎる対戦が起こらないようにMMRの数値が近いプレイヤー同士が対戦する仕組みになっています。
対戦で勝つことによりMMRの数値が上がり、より強いプレイヤーと対戦することになりますが、MMRの数値が高ければ報酬として貰えるSLPもより多くもらえるシステムです。
アリーナには参加プレイヤーのランキングシステムもあり、ランキングの上位になると、ゲーム内のもう一つの仮想通貨Axie Infinity Shards(AXS)が報酬として貰えます。
スカラーシップ
Axie Infinityをプレイするにあたり、プレイヤーはまずアクシーを最低3体購入する必要があります。アクシーを購入する際に使用する通貨はSLPではなくイーサリアムです。
イーサリアムのレートそしてアクシーの能力によって金額が異なってきますが、プレイヤーはゲームを始める初期費用として数万円から十万円を超える金額が必要になる可能性があります。
この、初期費用が用意できない人のためにAxie Infinityでは「スカラーシップ」という制度があります。
このスカラーシップ制度とはマネージャー(アクシーを貸す人)が保有するアクシーの中から3体を貸し出し、スカラー(借りる人)はそのアクシーを使って得たSLPを契約した割合でマネージャーと分け合う仕組みです。
分配の割合について決められたルールはありませんが、多くの場合7:3や6:4の比率でマネージャーの取り分の条件で採用されています。
ちなみに、一般的にスカラーシップ(Scholarship)とは「奨学金」や「学問」を意味する英語ですがAxie Infinityにおけるスカラーシップは年齢、職業などに関係なく契約を結びたいもの同士が合意すれば利用できる制度です。
またこの制度はAxie Infinityの運営会社ではなく、Yield Guild Games(YGG)という団体によって生み出されました。
なおYGGはNFTアイテムのレンタルに関してAxie Infinity以外のゲームとも提携しています。
アクシーを3体購入する費用が大きな負担になるフィリピンでは初期費用なしでプレイできるこのスカラーシップ制度が積極的に活用されています。
また英語によるコミュニケーションのハードルはありますが、日本人でもマネージャーの立場でスカラーシップ制度を利用してSLPを獲得している人がいるようです。
さらには複数人のスカラーにアクシーをレンタルして、まとまった不労収入を得ているマネージャーもいるようです。
このスカラーシップは非常に便利な制度でオーナーにとってもスカラー(プレイヤー)にとってもメリットはあるのですが、あまりに普及すると獲得SLPが多くなりすぎるので、運営側としても報酬体系を変更せざるを得なくなり、実際に2022年に入ってから変更を公表しています。
ブリード
現在のところ、プレイヤーがゲーム内でSLPを使用する機会はアクシーを繁殖させるときに限られています。
もしプレイヤーが、保有しているアクシーとは別のタイプのアクシーが欲しい場合やスカラーシップをするために追加でアクシーが欲しい場合、マーケットプレイスで購入することもできますが、保有する2体のアクシーを交配させ新しいアクシーを誕生させることも可能です。
ゲーム内ではこの行為を「ブリード」と呼び、ブリードするにあたり、SLPとAXSが必要となってきます。アクシーがブリードできる回数は最大で7回までとなり、ブリードの回数により必要なSLPが変わってきます。
ブリードに必要なAXSは毎回同じ金額ですが、ブリード回数が多いほど支払うSLPが増える仕組みです。ブリードで使ったSLPはバーン(Burn=焼却)されるので、ブリードはSLPの消費と供給のバランスを保つひとつの手段となっています。
仮想通貨におけるバーンとは対象となる通貨を永久に消滅させる行為のことです。ブリードをおこなうと卵が産まれ、卵の状態から対戦に使える大人のアクシーになるまでプレイヤーは5日間待つ必要があります。
大人になったアクシーをマーケットプレイスで販売することができますが卵の状態のままでも販売することができます。
Katana
2021年11月にSky MavisはRoninネットワーク上に「Katana」と名付けた独自のDEXをリリースしました。
DEX(Decentralized Exchange)とは中央管理者を介さずに仮想通貨を取引する分散型取引所です。
通常の仮想通貨取引所に比べてDEXは仲介者を間に入れずにユーザー同士が直接取引をおこなうため、手数料を抑えることができます。
Axie Infinity専用のサイドブロックチェーン「Ronin」にDEX Katanaが装備されたことによりユーザーはより簡単に、そしてコストを抑えてスワップやファーミングができるようになりました。
また運営側も独自のDEXを装備することにより他の取引所への依存度を減らし、SLPやAXSがゲーム内のシステムから流出するのを抑え、それぞれの通貨の流動性を高めることができるようになりました。
SLPの今後の価格の予想について
SLPのチャートにおける今後の価格の予想ですが、やはりスカラーシップなどの導入によって売り圧力が大きいため、そのが大きなポイントになるでしょう。スカラーシップが普及して、全世界のプレイヤーが増加するとともにSLPの獲得数が増えれば、その分だけ市場で売却されるSLPも増加しますので。
SLPをゲーム内で獲得する報酬体系を運営側は調整することで、価格を安定させようとしているので、運営側の講じる策がうまく機能するかどうかも大切です。基本的には、あまりにも稼げ過ぎる状態を脱した方が、こういったNFTゲーム内で稼ぐ仮想通貨の価格の安定性は増すと言えます。希少価値が高い方が有利だと言えますので。
ゲーム性は高いと評判ですし、発展途上国では生活費の助けになる金額を稼ぐことはできるので、報酬体系が過剰な利益を生むものでなければ、将来的にも人気ゲームとして存続するでしょう。
後は、将来価格を決定する要因として重要なのは、競合となりうるゲームにプレイヤーを奪われないかでしょう。メタバース銘柄の仮想通貨としては、SANDやMANA、後発のALICEなどが存在するので、Axie Infinityのプレイヤーがそちらに流れるようなことも予想できるのではないでしょうか。
ただ、ゲームで稼ぐという面においてはAxie Infinityは先駆け的存在であり、ブランド力があるので、その点では強みがありますので、注目していきたいところです。
又、ビットコイン(BTC)の今後の価格も大いに影響を及ぼすでしょう。BTCが上がる場合には、暗号通貨市場全体が強気になるため、SLPも上昇すると考えられます。したがって、金利などをはじめとして経済動向を確認して、BTCの予想を行うことが、そのままSLPの将来性や価格の予想を占う上では重要になるでしょう。
将来のSLPの価格に期待する場合には、まずは国内のコインチェックで口座開設をしてから送金してSLPを購入すると良いでしょう。
ゲームで稼ぐだけのコインの価格は落ちるという理論に関して
ゲームで稼いだ仮想通貨を市場で売却する人が増えれば、需要よりも売却数が上回るので、価格は落ちていくので、将来的に価格は必ず落ちるという理論を唱える人もいます。このあたりについては、今後検証されていくでしょうけれど、SLPを売買している人は、一応はこういったことも頭に入れておきましょう。
そう考えると、メタバース銘柄のように、土地などを活用して企業がそこで商売をしたりできるような特性が重要になってきます。その中でも、無尽蔵に報酬として仮想通貨が配られるとやはり価格が落ち着かなくなるので、きちんとした計算のもとにコインを発行し、メタバース空間で企業が取引を行うことに価値を見出せるような状態が好ましいでしょう。
なお、SLPの今後の価格を予想する上ではAXS(アクシー)の価格の予想も重要になるので、下記の記事もご参考としてください。
Smooth Love Potionのまとめ
Smooth Love Potion(SLP)は人気のNFTゲームAxie Infinityで稼げるふたつの仮想通貨のうちのひとつです。
Axie InfinityでSLPを稼ぐ方法は現在のところ以下のふたつの方法です。
- 「アリーナ」モードで他のプレイヤーに勝つ
- 「スカラーシップ」でマネージャーになり、スカラーにSLPを稼いでもらう
そしてゲーム内でSLPを使用する機会は2体のアクシーを交配させて新しいアクシーが生まれる「ブリード」のみとなります。
またプレイヤーはサイドチェーン「Ronin」上に作られたDEX Katanaで使用予定がないSLPやAXSをスワップやファーミングすることが可能です。
SLPの供給過多によるインフレ対策として2022年2月にSLPを稼ぐ難易度が上がりました。
運営側の思惑通りSLPの価格が上がるのかどうか、多くの人が注目をしている状況です。
もし期待した効果が得られない場合、プレイヤーにSLPの消費をうながす新たな仕組みが導入される可能性が考えられます。
そしてSLPのインフレ問題が解消されれば、アドベンチャーやデイリークエストでのSLP報酬の復活、もしくはSLPを獲得できる別の方法が導入される可能性も考えられます。
今後ゲーム内でのSLPの供給と消費のバランスが改善され、ゲームの人気がさらに高まるような状態になれば、仮想通貨SLPの値動きがより注目されることになるでしょう。