NFTを法人が取得した場合、売却した場合の会計処理と税務

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NFT(Non Fungible Token)を法人が取得した場合、仕訳などの会計処理はどのようになるのか、又、税法上どのような扱いになるのかをこの記事では解説していきます。

仮想通貨(暗号資産)が徐々に普及するにつれて、仮想通貨投資をする法人はもちろんのこととして、NFTを保有する法人も増えてきています。

NFTに関する法整備はまだまだなされておらず、会計基準も明確になってませんので、今後も変化していく可能性はありますが、現時点ではこちらの記事にあるような会計、税務の取り扱いで処理すれば問題ないのではないでしょうか。

法人がNFTの売買をしている場合の課税のタイミング、つまり、取得時に必要経費(損金)としても良いのかという点について悩まれている企業の経理担当者は多いと思います。

又、法人の事業年度末の決算日においてNFTの期末時価評価をするべきかどうかを知りたい人もいると思うので、説明していきたいと思います。

NFTの消費税についても触れていくので確認してください。

なお、個人のNFTやFTの税務については、「個人がNFTやFTを売買した場合の税金の処理」のページをご確認ください。

みお

NFTを買ったときに法人の経費にできるのかどうか、ここに悩んでいる人は多そうですね。税金の額に与える影響が大きそうですから。

目次

NFTは法人でも取得可能

法人で仮想通貨(暗号資産)の口座を保有しているケースも増えてきています。

そんな中で、NFTを利用して売買益を上げたり、NFTゲームで収益獲得を目指す会社も出てきています。

NFTの取得は個人だけができるものではなく、法人でも取得可能です。

NFT売買等で大きな利益獲得をした場合には、法人の方が個人よりも実効税率が低いことなどのメリットがあるために、法人で買う人がいるのです。

もちろん、法人で購入して大きな損失を出すと、その法人に融資している金融機関が警戒する可能性はあるので、取得可能とは言え、このようなデメリットも考えると、あまりに過大な金額の購入は避けたいところです。

又、個人口座で売買している仮想通貨やNFTに関して、法人保有のものとして投資すると、それは実際の口座名義人と取引者が異なるという点でそもそも望ましくなく、又、税務署に個人の所得として認定される危険性があるでしょう。

なお、NFTを購入したり、NFT関連銘柄の仮想通貨(暗号資産)を購入する場合には、一般的におすすめとされる手堅い銘柄を購入した方が損失が生じるリスクは低いでしょう。あまりに知名度の低いものですと、価値がほとんどなくなってしまう可能性もあるので、慎重に投資しましょう。

法人のNFTの会計処理

ここでは、法人がNFTを購入した場合の会計処理について確認していきます。

勘定科目はどのようにすると貸借対照表がわかりやすいものになるのか、又、実際の会計の複式簿記の仕訳はどのようになるのか、見ていきましょう。

NFTの貸借対照表上の勘定科目は?

NFTは法人の決算書の内、貸借対照表の資産の部に計上することになります。

資産の部は、流動資産、固定資産に分かれ、固定資産は企業会計原則などにより、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産に分類されます。

NFTについては、形のない資産ですので、この中でも無形固定資産として取得価額で計上しておけばほとんど問題はないのではないかと考えられます。

勘定科目に関して悩むところですが、わかりやすいようにNFTという具体的な勘定科目を会計ソフトで作成してしまって処理すると良いかと思います。

なお、NFT1つ1つについて取得価額がいくらか管理する必要があるため、会計ソフトの補助機能などを利用して、個別管理を行いましょう。

みお

取り扱いは、今後の法改正などで変わることもあるかもしれないので、注意が必要ですね。

NFTは減価償却するの?

減価償却とは、固定資産について、購入時に一時の経費とせずに、その資産の種類等に応じて定められた耐用年数の期間内に徐々に減価償却費として経費化することを言います。

NFTは価値が時間の経過とともに減少すると考えられる資産ではなく、どちらかというと絵画や骨とう品のような性質に近いと思いますので、減価償却は行わないでよいでしょう。

したがって、減価償却費などは引かず、かつ、期末時価評価も行わずに、取得価額をそのまま貸借対照表に記載すれば良いでしょう。

NFTの売買をした場合の具体的な複式簿記の会計処理(仕訳の方法)

個人が雑所得や譲渡所得で処理する場合の計算と異なり、法人の場合には、仕訳帳にNFTの売買を記帳する必要があります

ここでは、実際に取得したり、売却したりした場合の複式簿記の仕訳例を確認してみましょう。

例:8月20日にNFTを10万円で購入し、11月30日にそのNFTを12万円で売却した。仮想通貨で購入し、仮想通貨の勘定科目を暗号資産としていることを前提とし、支払に使った暗号資産は元々9万円で取得したものとする。わかりやすくするため、取引所への支払手数料やガス代はないものとみなす。

まず、購入時の仕訳は以下のようになります。

日付借方金額貸方金額
8月20日NFT100,000円暗号資産90,000円
暗号資産売却益10,000円

続いて、売却時の仕訳は下記のとおりです。

日付借方金額貸方金額
11月30日暗号資産120,000円NFT100,000円
NFT(固定資産)売却益20,000円

※なお、8月20日と11月30日の間に決算を挟んだとしても、そこではNFTの期末時価評価はしなくても良いものと考えられます。一方で、売却して得た仮想通貨(暗号資産)を期末まで保有していて、その暗号資産が取引所に上場していて時価がある場合には、その暗号資産は期末時価評価しておきましょう。

NFTだけの損益計算を仕訳にするだけなら良いのですが、仮想通貨の損益計算も絡んできて、その仮想通貨の損益計算の方が比較的難しいと言えるかもしれませんね。

なお、会計処理をしたときには、摘要欄に取引の詳細を書くのですが、そこには決済に使われた仮想通貨の銘柄名称、その仮想通貨の数量、売買したNFTの名称については記載しておくと良いでしょう。

法人のNFTの法人税法上の取り扱い

ここでは、法人税法上はNFTがどのように取り扱われるかを説明したいと思います。

税法に関しても、新しい概念であるNFTや暗号資産については曖昧な部分が多いので、徐々に新たに国税庁から通達等が公表され、税務処理が明確化されていくとは思います。

取得時に損金(経費)にするのは難しい?

みお

私はNFTゲームをやっているから、NFTを取得時に経費にできると節税になるから嬉しいのですが、それはどうも難しそうですね。

NFTの取得時に購入価額を経費(損金)とすることはできるのでしょうか?

※法人税法上は、税額計算において差し引ける支出のことを損金と呼びます。

10万円未満のNFTであれば、消耗品費として法人の経費にできるのではないかと考える人もいるかもしれません。

しかし、NFTは取得のタイミングで資産計上した方が妥当だと考えられます。

つまり、NFTは取得時には損金にはならないということです。

NFTゲームをプレイしたり、スカラーシップを利用して、仮想通貨(暗号資産)の形で報酬を得ている場合、そのNFTゲームをプレイするのにNFTを購入したのだから、その取得のタイミングで損金にしたいと考えると思います。しかし、あくまでもそのNFTの売却のタイミングまでは経費に落とせないと考えましょう。

取得価額と売却価額の差額を利益又は損失として認識

NFTを売却した場合の損益として認識すべき額は、税法上も、取得価額と売却価額の差額となります。取引所の手数料や送金料金も経費にはなります。

売却価額よりも取得価額が大きければ差額が利益となり、その逆であれば両者の差額は損失となるのです。

そのため、各々のNFTの取得価額を把握する必要があるので、貸借対照表上は同じ勘定科目であっても、その内訳は別途管理する必要があるのです。

ミント(Mint)して、既存のNFTがなくなり、新しいNFTが生まれた時の税務

2つのNFTを掛け合わせて、新しいNFTを作り出すような手法のことをミント(Mint)と言います。

たとえば、STEPNのNFTスニーカーを組み合わせて新しいスニーカーを作るミントなどは、やったことがある人もいるのではないでしょうか。

消えてしまったNFTに関しては、ミントのタイミングで法人税法上の経費、つまり損金になると考える人もいるかもしれません。

しかし、ミントの場合には、既存のNFTの取得価額は、新しくできたNFTに引き継がれると考えて、その新しいNFTを売却した時に、売却額から差し引くことができると考えたほうが妥当でしょう。

法人の決算日にNFTの期末時価評価は行わない

みお

法人税の計算に関して、仮想通貨とNFTでは期末の時価評価の有無に違いがあるのですね。

法人の決算のタイミングでNFTの期末時価評価は行いません

仮想通貨(暗号資産)の場合は期末時価評価により損益を認識するのですが、NFTについては個々のNFTに関する市場価格というものがないため、取得時の資産計上額のまま決算書に記載して良いのです。

もしも、時価評価して余計な益金(利益)を計上すると法人税を過大に納付することになります。

反対に価格が落ちていると考えて評価損を損金計上してしまうと、後にもしも税務調査が入った場合に否認されてしまい、本来納めるべき税金だけではなく、罰金や利息を徴収されてしまうでしょう。

仮に、企業の利益や損失の金額やその発生過程が記載される損益計算書上にNFT評価損などという勘定科目が載っている場合には、税務調査になる確率が高まるでしょう。

NFT関連の税法は整備されていないとはいえ、税務署はNFT評価損は中々認めないでしょうから。

ただ、財務諸表についてはできる限り時価に近い金額を入れることで、経営分析に役立てたいという経営者もいるでしょう。その場合は、大体の予想される時価の金額でNFTを貸借対照表上に計上することになりますが、その評価損益の金額分だけ、法人税の確定申告書の別表四において、加算調整又は減算調整することで、財務諸表上は税法とは違う扱いとなっているけれども、最終的な税額計算では税法に従った計算が行われます。これであれば、過少申告をしたことにはならないので、税務調査があっても追徴課税はされないでしょう。

NFTの売買に消費税はかかるの?

みお

消費税の取り扱いも、NFTと仮想通貨では違いがあるんですね!

NFTの売買に関しては、仮想通貨(暗号資産)と異なり、資産の譲渡であると考えられます。

国内取引に該当するかどうかが重要となりますが、そこが明らかにならないのであれば、売却(譲渡)した法人の事務所等の所在地で国内取引かどうかを判定すると良いことになり、売却した法人が、日本国内の存在する法人である場合には、国内取引として、消費税の課税対象になると考えて良いでしょう。

ただし、外国に居住している人、つまり、日本の非居住者に対してNFTを売却した場合には、輸出免税取引と考えられるのではないでしょうか。

ちなみに、NFTの購入者の立場からすると、課税対象となる取引であれば、仕入税額控除として支払う消費税額から控除することができます。

なお、仮想通貨(暗号資産)の場合には、仮想通貨は支払い手段の譲渡であると考えられるため、消費税の課税対象取引とはならないのです。NFTと仮想通貨では、消費税法上の位置づけも変わってくることには注意したいですね。消費税に関する理解が誤ってしまって、後から追徴課税をされるようなことは避けましょう。

税務調査では細かく調べられるので、NFTを使った脱税はしないこと

みお

NFTや仮想通貨の取引記録は残るのだから、さすがに脱税すれば後で税務署にバレると思うわ。脱税して逮捕や起訴されるような可能性もあるので、絶対にしてはいけないですね。

NFTを使って脱税などを企てることは絶対にやめましょう。

仮想通貨やNFTの場合には、多くのウォレットを持って送金を繰り返すと、確かにその資金の流れは非常に複雑になります。そのため、収入金額を抜いて申告しても国税にばれないだろうと安易に考えてしまう人もいるかもしれません。

購入時にこそっと損金にしておいて、後は、複雑な経路をたどって、法人から個人の口座に財産移転をしてしまおうと考える人もいるかもしれません。

しかし、こういったことをしても、税務署国税局は地道に調べ続けて、最終的には脱税や申告漏れを発見することでしょう。

又、上記のような脱税をすると、いつかどこかで会計上の辻褄も合わなくなってきてしまうものです。

仮想隠蔽行為があるとみなされて脱税と認定された場合には、通常かかる過少申告加算税という罰金ではなく、税率が非常に高い重加算税という罰金を支払うことになってしまいますし、税務署からも要注意すべき法人とみなされて次の税務調査も入りやすくなりますので、大きなデメリットになることでしょう。

税務調査では、NFT回りはかなりよく見られると考えられますし、NFTを利用して脱税をするメリットはなく、危険性を高めるだけですのでやめましょう。

正直なところ、税務調査官も仮想通貨やNFTにも詳しくない人が大勢いるでしょうけれども、だからこそ、きちんと時間をかけてNFTの税務上の取り扱いが正しいかどうかを調査するはずです。

海外の暗号資産取引所の口座を経由しているから税務署にばれないだろうとか、そういったことも考えないようにしましょう。

NFTを法人が取得した場合、売却した場合の会計処理と税務のまとめ

みお

NFTアートを購入した場合や、NFTゲームを始めたら、NFT関連の会計処理や税法についても一度は学んでおかないといけないですね。

こちらのページでは、法人がNFTを取得することができるのかということ、取得した場合や売却した場合の会計処理や、法人税や消費税の税務処理について解説しました。

勘定科目に関してはある程度は自由に決めても法律違反にならないですが、期末時価評価の有無や課税のタイミングに関してはきちんと覚えてください。

又、NFTの内外判定などは慎重に行い、消費税の課税取引となるかはしっかりと判断しましょう。 もちろん、NFT回りは法律がまだまだ未整備であり、私見も入ってはおりますが、ご参考としてくだされば幸いです。

なお、これからNFT関連銘柄の仮想通貨を購入したり、NFT売買をしたいという場合には、NFTマーケットプレイスを保有していて、又、取引所の手数料が無料のコインチェックで口座開設するのがおすすめです。

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