近年、預貯金はほとんど利子がつかず、年金も将来的に少なくなる傾向にあります。また、これから物価が上がっていけば預貯金は増えないどころか実質目減りします。長期的にはインフレによって現金預金の価値減少は避けられないでしょう。
ですので、自分で投資、資産運用を実施することが求められてきています。
最近では、株式投資や不動産取引、外国為替証拠金取引(FX)などに加えて仮想通貨(暗号資産)を始める人が増えてきました。
ここではそのような仮想通貨を安心して安全に取引する方法を、注意点を含めて基礎からお伝えしていきます。世界の物価のインフレが続くと考えるなら、仮想通貨を長期保有すのも一つの方法でしょう。
仮想通貨投資の注意点はきちんと守って、相場から退場させられることなく、長期的な投資をしてください。
そもそも仮想通貨とは
仮想通貨は日本では暗号資産と定義されていますが、海外では一般的に暗号通貨(Cryptocurrency)と呼ばれています。
仮想通貨は通常のお金と同じように使えるデジタル資産で、その資産はコンピューターの台帳に暗号を使って情報が漏れることなく保管され、流動性がある資産のため市場で取引できるのです。仮想通貨は現在の最新の技術を駆使した次世代の優れた通貨になり得えます。
気を付けるべき点としては、仮想通貨は国や政府が責任を負っている法定通貨ではないということです。さらにどこかの金融機関が保証をしている訳でもありません。仮想通貨の取引、保管は完全に自己責任です。
特に保管はウォレットと呼ばれる自分専用のウェブ上またはハードでの保管庫に保管をしますが、このパスワードを忘れてしまった場合は完全にその通貨は自分でコントロールできなくなります。誰も責任を取ることができないので最大限注意する必要があります。
仮想通貨についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をお読みください。
仮想通貨(暗号資産)の取引所開設から購入までの注意点
ここからは、仮想通貨を始めるには何をすればいいのか詳しく解説していきます。その中で、いくつかの注意点があるので解説していきます。
口座開設のために必要なものを準備する
仮想通貨を入手したり売り買いの取引をするためには仮想通貨取引所(販売所)に口座を開設する必要があります。取引所は日本でも海外でも必要なものはほぼ同じです。準備するものはスマートフォンと身分証明書やマイナンバーカード等顔写真のついているものです。
スマートフォンよりもパソコンの方がより高度な取引ができるのですが、そのような取引は口座開設してから後でもできるので、まずはより簡単で便利なスマートフォンで口座開設をしましょう。
マイナンバーカードに関してはレバレッジ取引などを考えられている方は必要ですが、そうでない場合は必要ありません。
仮想通貨(暗号資産)取引所で口座を開設する
本人確認書類の準備後、取引所の入力フォームにてメールアドレス、パスワード設定から住所、名前、電話番号等本人基本情報を入力します。その後これまでの投資経験や資産状況を入力します。
必要事項の記入後スマートフォンで顔の正面、横顔などを撮影し、画像を送付します。写真はできる限り鮮明に撮影するように注意してください。たいていはこれで口座開設が可能です。早いところでは数時間から遅くても10日前後で口座開設が完了します。
取引所を選ぶポイント
口座開設をする方法はどこの仮想通貨取引所でも似たり寄ったりです。問題はどの取引所を選ぶのかということです。ここでは、「セキュリティ」、「手数料」、「使いやすさ」にポイントを絞って解説します。手数料に関しては、長期的には大きな運用利率の違いとなって現れるので、注意してください。
セキュリティの高い取引所を選ぶ
仮想通貨はブロックチェーン技術を土台にしているため、セキュリティリスクはかなり低くなっています。
取引が検証可能で記録することができることにより誰がどのような取引をしたのか後で必ず分かり、また取引記録を改ざんすることはほぼ不可能です。よって仮想通貨取引を行う取引所は全て安全だと考えるかもしれません。
どれだけブロックチェーン技術が優れていても管理する会社のブロックチェーンに接続されるまでの部分においてはハッキングされる可能性があります。このようなリスクを避けるためにできる限りセキュリティーの高い取引所を選ぶ必要があります。
「ブロックチェーン」についてもっと知りたい方はこちらから
手数料の安い取引所を選ぶ
セキュリティの高さの次に重要なことは、手数料の安い取引所を選ぶことが重要です。手数料が高ければその分利益が減ることになります。各社様々な手数料が同様に無料となっているので、どこを使って手数料は変らないと思うかもしれません。
しかし、気を付けないといけないのが「スプレッド」です。スプレッドとは通貨の「買値」と「売値」の差額をいいます。例えばビットコインの買値が410万円、売値が390万円の場合、スプレッドは20万円となります。
このスプレッドが狭い(小さい)ものを選ぶことが重要ですが、スプレッドは取引所によっても通貨によっても異なります。
自分が取引しようとする通貨ごとに、どこの取引所のスプレッドが小さいかを調べる必要があります。また将来的にもスプレッドは変化するので、ブログ、ウェブサイトの比較サイトを見る時は注意してください。変化に追いついていないサイトもあります。
ただし、「買値」と「売値」のスプレッドが生じているのは販売所で買うケースであり、皆さんはそのようなスプレッドのない取引所で仮想通貨売買を行ってください。ほとんどの人が板取引と呼ばれる取引を取引所で行っており、買いたい人と売りたい人の希望価格が一致したところで売買が行われているのです。
「販売所ではなくて取引所で取引すること」、これが大きな注意点ですね。コスト意識を持って取引すると、長期的には大きな金額の差となりますので。
使いやすい取引所を選ぶ
「セキュリティが高い」、「手数料が安い」ことに次いで重要なことは、「使いやすい」ことです。前者2つが優れていても使いにくければ取引が面倒になります。仮想通貨は株よりもボラティリティが高い(価格の変動率が高い)ので、価格がすぐに変化します。
今すぐ取引しようとおもっても、ログインまでに時間がかかったり、注文するのにてこずるようでは使える取引所にはなり得ません。
又、暴落時にサーバーがダウンしてしまうような取引所も避けましょう。損切りのために売りたくても売れない、という地獄のような事態に陥ってしまうことがあります。
仮想通貨(暗号資産)の取引所選びは慎重に行う必要があるのです。もちろん、1か所の取引所ではなく複数持っている投資家が多いですし、複数あった方が各々のメンテナンス時間にもう一方の取引所で取引できるので、機会損失が減りますし、リスク回避にもなるでしょう。
下記の記事で、おすすめの取引所をピックアップしているので、ご参考としてください。
取引所の口座に日本円を入金する
日本の仮想通貨取引所に口座開設をした後は、その口座に日本円を入金することになります。入金方法は銀行から「即時振込」や「通常振込」などがあります。
即時振込は取引所から直接ご自身の取引銀行の口座にログインし、決済金額を承認すると即座に取引所に入金されます。通常振込はご自身の銀行口座から取引所の口座にスマートフォンやPCから振り込む方法です。
通常振込の場合に気を付ける点としては、取引をしてから一定期間通貨を送付できない場合があるということです。ある日本の取引所はネット銀行以外の三菱UFJ、三井住友、みずほ銀行等の都市銀行の場合、振込入金された分の仮想通貨が1週間他所へ送付できないことになっています。
その手に入れた通貨をそのままその取引所に保管しておく場合は良いのですが、海外の仮想通貨取引所などの別の取引所またはウォレットに送付する場合は不都合が生じます。
日本の取引所では、ビットコインを始め数種類から多いところでも十数種類です。しかし将来有望な通貨で、海外の取引所でしか取引できないものは何百種類とあります。
そういった通貨の取引をする場合、ネット銀行以外の口座から日本円入金すると、その日から7日経たないとその有望な通貨を入手することができないことになってしまいます。ここは注意しましょう。
仮想通貨(暗号資産)・ビットコインを購入
例えば、ビットコインを入手する場合、日本円を仮想通貨口座に入金できたら、トレード(取引)画面で「ビットコイン(BTC)」を選びます。
そして「買い」または「購入」とある部分で購入希望額を日本円でいくらか、またはビットコインの数量を入れます。具体的には日本円で「1万円」、またはビットコインで「0.002BTC」と数字を入れます。
そして一定時間(例えば6秒間)で決済する(クリックする)と、自分のビットコイン口座に購入したビットコインの数量が保管されてビットコインを1万円分購入したことになります。
決済時には、金額や数量をきちんと確認するように注意しましょう。
仮想通貨(暗号資産)を始めるときの注意点
最後にこれから仮想通貨取引を始めるにあたってこれだけは注意した方が良いというポイントを解説していきます。これらのポイントをおさえておけばより安全で安心できる取引が可能です。
知識がない状態で始めない
ビットコインなど通貨が上がるかもしれないという情報を得るとすぐに仮想通貨取引を始めてしまう方がいらっしゃいます。
しかし知識のない状態ですぐに始めてしまうとたいてい失敗します。買う(売る)のによいタイミングで買わ(売ら)なかったり、買って(売って)はよくないタイミングで買って(売って)しまうのです。特に、暴騰して価格が急激に上がったタイミングで「自分だけ損したくない」という感情が働いてしまって一気に購入をすると、その直後に暴落することはよくあるので、注意しましょう。
反対に、売るべきポイントではないところで狼狽売りをしてしまうようなケースもあります。狼狽売りとは、焦って狼狽して売ってしまうことを言います。初心者にありがちな行動でもあります。そして、狼狽売りを待っているくじらも存在するということも理解しておきましょう(くじらとは大口投資家のことです)。個人投資家が焦ってパニックになって狼狽売りして極端に価格が下がったところで買ってくる投資ががいて、そういった投資家が良い買いポジションを取ることも多いのです。
最低でも現在から1か月前まで、現在から3か月前まで、現在から半年前そして通貨上場当初から現在までの値動きを調べて、その通貨の価格がどのように推移しているかを見ることが必要です。
可能であれば運用しようとする通貨の特性、仮想通貨が連動しがちな米国株式の価格動向などをみることによってより良い買い(売り)時期を見つけることができます。
相場の動きは激しいですから、良い買いのタイミングを待つのも非常に大切なことであると考えてください。
余剰資金で始める
投資の基本ですが、生活費で仮想通貨を取引したり、借金をして取引することは控えた方が賢明です。絶対に儲かるとか、プラス思考になり過ぎた時こそ注意が必要で、人のお金で投資するようなことはさけましょう。
まず仮想通貨は大きく価値が上昇することもあれば逆に下降することもあります。折角の資金が半分以下、時には1割なんてことにもなってしまうこともあります。
余剰資金ではない資金であれば精神的にも余裕をもった冷静な取引が難しいです。今、投資した資金は必ず今月中にプラスにしないといけないなどと考え、無理な取引をしたり長期保有がメリットある時期にそれができないからです。
ですので、仮想通貨取引は余剰資金で行うようにしてください。これは非常に大きな注意点ですし、失敗して破産するようなことにならないようにしましょう。
レバレッジ取引で大きく稼ごうとしない
レバレッジ取引を簡単に説明すると、例えば10万円の現金を仮想通貨口座に入金し、その10万円を100万円(スプレッド10倍)として取引することを意味します。この場合100万円分の仮想通貨として取引でき、その価格が10%上がれば110万円ということで、10万円の儲けがでます。
逆に価格が10%下がった場合、投資した100万円は90万円になってしまい10万円の不足となってしまうため、ここで元の10万円がなくなってしまい取引ができなくなります。
価格が上がった場合は良いのですが、下がった場合に元本10万円全てがなくなる危険性があります。
このようなことを避けるために、レバレッジはリスクが高いことを承知して慎重に取引してください。これは、仮想通貨投資における最も大きな注意点の1つと言えます。
ハッキングリスクを認識しておく
セキュリティの高い取引所を選ぶことは先に書きましたが、取引所は日々、セキュリティを強化しており安全性が高いです。しかし、ハッキングも日々進化しており、ハッキングリスクはつきものです。いくら取引所がセキュリティを強化してもハッカーはそのセキュリティホールを見つけて攻撃します。
そこで仮想通貨を取引所に置いておくのではなくてご自身のウォレット(オンライン、ハード)を用意してそこに保管していくことが重要です。各仮想通貨の公式ウェブサイト、複数保管できるアプリ、オフラインのハードのウォレットなど様々あります。ご自身の取引状況を考えて選択してください。
ただし通貨を数種類以上保持し、2、3日で通貨を入れ替える方はそのまま取引所で保管したまま取引をした方が便利かもしれません。一旦ウォレットに入れると取引をする時にまた取引所に送らなければならず、終わったらまたウォレットに戻す作業が必要です。
固定して動かさない仮想通貨は全てまたは一部をウォレットに保管する方が賢明です。
税金の確定申告を忘れないように注意
仮想通貨(暗号資産)の初心者への注意点をいくつか解説しましたが、利益が出たら税金の確定申告をすることを忘れないようにしましょう。
仮想通貨の利益は個人であれば基本的に雑所得となり、税務署に申告をしないと、後で罰則規定を適用されたり、利息を支払うことになるので注意しましょう。無申告のままにしていると、税務調査が突然やってきて、大変なことになってしまうかもしれません。
まとめ
仮想通貨投資を始めるまでの注意点ということで、注意点とともに何をどうすれば良いかお話をして来ました。
まずは仮想通貨取引所については安全性、経済性、容易性を考慮し選択することです。その後、取引所にご自身の銀行口座等から日本円を入金し、その取引所で日本円を希望の通貨(例えばビットコイン)に替えます。
これだけで仮想通貨取引は可能なのですが、仮想通貨初心者の方にとって一番大切なことは取引に「慣れる」ことです。慣れることによって、今取引したいと思ったときにすぐに取引ができるわけです。
取引所開設をした後はできる限り少額、例えば1000円を口座に入金し、お目当ての通貨を購入することを資金に余裕がある限り繰り返します。ここで仮想通貨取引の練習を行うわけです。
そしてその後その変えた仮想通貨をまた日本円にして1000円程度の少額を日本円に替えて、ご自身の銀行口座に出金をすることを繰り返します。十分慣れたと思えば取引所内の他の通貨にチャレンジしてください。
このように何回か取引をすれば慣れてきますので、いつでも好きな時に自由に取引ができるようになることに加え、もっと様々な有望な通貨を取引することが可能な海外の取引所を選択してそこで取引することもできるようになります。
投資の世界では「卵を一つのかごに盛るな」という格言があります。一つの仮想通貨だけに投資しているとリスクがあるので注意しなくてはならないということです。リスクを避けるためには1つではなく4、5種類余裕があれば10種類くらいに分散して投資することも手のひとつです。良いタイミングが来た時に欲しいコインを買えるようにするため、複数の取引所の口座を作って、買えるコインの種類を増やしておいた方が良いとも言えるでしょう。
日本の仮想通貨取引所だけではなく、将来は海外の取引所でも取引できるようになればより充実した仮想通貨投資ライフが楽しめるのではないでしょうか。