仮想通貨の有用性については、ひと昔前までは懐疑的な見方が多かったのですが、今ではそのような見方も変化し、「将来の先進的な科学技術に基づいた人間生活を送る上での、欠かせない貴重なツール」としての位置づけが大勢を占めています。
その証左の一例としては、これまで個人や特定の国々の方々しか購入しなかったような仮想通貨を、先進国の大手企業などの機関投資家が一定数購入したり、中南米のエルサルバドルにおいてはビットコインという仮想通貨を法定通貨として定めたことが挙げられるでしょう。
このような動きは決して一時的なものではなく、将来に渡って綿々と続いていくだろうことは容易に想像がつきます。NFTやメタバースの人気が更に出れば、仮想通貨への需要もそれと共に増えることは明確でしょう。
これらのことから、将来性が非常に期待できる仮想通貨に関しては、生活に影響を与えない程度の範囲、すなわち自己の余剰資金程度の範疇で保有しておくことが望ましいのは言うまでもありません。
理由は、現在のような傾向が継続した場合、仮想通貨全体の価格が向上することが予想できるからです。
しかしながら、現段階で仮想通貨投資を始めようと思っても、疑問や不安が募り、なかなか前に踏み切れないのが現状ではないでしょうか。
その疑問や不安は、「どこの仮想通貨取引所を利用すればよいのか。」「投資する仮想通貨の銘柄はどれにすればいいのか。」の2つに集約されるのではなかと存じます。
本記事においては、それらのことを考慮し、人気のある取引所や銘柄について基本中の基本を解説し、仮想通貨初心者が少しでも迷いや不安を取り除いた状態で仮想通貨取引に臨めるようにしたいと思います。
仮想通貨の取扱所のおすすめの選び方
皆さんの大事な資産を預ける取引所については、「セキュリティ」、「スプレッド」、「ツール・アプリの使用感」、「アフターケア・サポート」、「合法性」の5つの観点を考慮して選ぶことが大切です。
この5つの観点がなぜ重要なのかについて個別に解説していきます。
セキュリティがしっかりしているか
仮想通貨は法定通貨と違って、現物としての裏付けがありません。そのため、仮想通貨の裏付けとなり得るものは、個人のアドレス等と1対1の関係で紐付けされた暗号そのものなのです。
この暗号資産とも呼ばれる仮想通貨ですが、その紐付けされた暗号が破られて改竄等されたりした場合は、その仮想通貨は機能しなくなったり、盗難にあって他の人のものになってしまったりします。
すなわち、セキュリティが非常に重要になってくるのです。
仮想通貨のほとんどは「ブロックチェーン」と呼ばれる強力なセキュリティネットワークを持ち、そこに存在する間についてはセキュリティは問題ないでしょう。
問題なのは、仮想通貨を出し入れや決済のために、一時的にコインを収めて置く場所(ウォレット)等に保存されているような状態の場合です。
このような場合は、ブロックチェーン上で機能していた時よりも、改ざん等が容易となり、現にこれまも数多くの盗難被害等が生起しています。
そのため、出し入れのためにウォレット等に保管している仮想通貨が、外部から狙われないような工夫や、狙われたとしても跳ね返すような対策を、取引所がきちんとしているかどうかを見極める必要があります。
対策の一例としては、ウォレットにコールドウォレットを活用したり、2段階認証を導入するなどが挙げられます。
これらの対策は現在はほとんどの取引所で導入されています。証券会社を保有するマネックスグループが運営するコインチェックも、非常に堅牢なセキュリティを持っています。
ホットウォレットとコールドウォレットって?
専門用語を用いると理解が余計に難しくなるので、ここでは概念を解説します。
ホットウォレットとは、銀行窓口の銀行員が自分の机のレジにお金を保管しているようなイメージです。
こうした場合、銀行員の近くにお金があるため、臨機にすばやく手軽にお金の受け取り等ができる一方で、万が一、銀行強盗がやってきたらお金を簡単に取られるというリスクがあります。
一方のコールドウォレットとは、銀行の奥深くの厳重な鍵のかかった金庫にお金を保管するようなイメージです。厳重な金庫に入っているために、各種取引等に伴うお金の出し入れが大変です。
ところが、万が一、銀行強盗がやってきても、お金は厳重な金庫内にあるので、そう簡単に盗まれることがありません。
このように、ホットウォレットとコールドウォレットを適切に組み合わせることで、融通性を保ちつつ、セキュリティ面の向上も図れます。
セキュリティに力をいれている取引所では、当面の出し入れに必要と予想される最小限度の分だけをホットウォレットに保管し、その他はすべてコールドウォレットにて保管するような対策をしている場合が多いです。
2段階認証って?
これは、1つの作業や内容を承認をするのに、2つの方法での認証が必要な方式です。
例えば、仮想通貨の現金化の際に、通常の取引用の暗証番号の他に、別の4桁の2段階認証用パスワードを打ち込まないと、作業が進行しないなどといったものです。
この2段階認証をほとんどの仮想通貨取引所で採用しており、一般的に利用者が2段階認証を利用するかどうかを選択するような形式になっていますが、この2段階認証は絶対に利用すべきです。
たしかに、通常のパスワードの他にも別のバスワードを打ち込まないといけないという煩わしさが生じてしまいますが、この手間を惜しんだが故に仮想通貨を盗み取られたのでは元も子もありません。
スプレッド
スプレッドの大小は利益に直結する重要な要素です。
そのため、販売所での購入をするとしても、できれば、スプレッドが小さい取引所を選ぶに越したことはありません。板取引をして直接売買を行うのが主流ですので、その場合にはスプレッドは特に気にしなくてもよく、できるだけ安いところで買うことを心がけましょう。
スプレッドが低い暗号資産取引所ほど、人気が出やすいと言えます。
仮想通貨のスプレッドとは? 板取引で買った方が良い理由
仮想通貨取引所における仮想通貨の購入額と売却額との差です。仮想通貨取引所には、販売所という機能があり、そこで購入する場合には、仮想通貨取引所の運営会社との取引を行うことになり、スプレッドが生まれます。
一般的にほとんどの仮想通貨取引所の画面では、購入額に関しては「買値:ASK」、売却額に関しては「売値:BID」との表記がなされています。
ビットコインの場合を例に上げると、1BTCについて、買値が509万、売値が503万円であった場合は、そのスプレッドは6万円ということになります。
すなわち、スプレッドが広い方が、利用者は損をしていることになります。
一方で仮想通貨取引所の側から見ると、1BTC購入者と1BTC売却者とのやり取りを成立させれば6万円が手に入ることになります。
結局のところ、販売所以外の板取引で買えるコインに関しては、板取引で売買をした方がスプレッドが生じないので有利で利益を出しやすいと言えます。これが、板取引で売買した方が良い理由です。
仮想通貨のスプレッドはどうして常に変化するの?
仮想通貨取引所は慈善事業ではなく、立派な営利企業なので、利益を当然ながら追求していきます。
こうした利益を最大限追求できる形で、常にその時に応じてスプレッドを変化させています。
あまりにも高いスプレッドを設定してしまうと、確かに取引を成功させた暁には沢山の利益を享受できそうですが、そもそも利用者がほとんどいなくなってしまいます。
反対にあまりにも低いスプレッドでは、利用者がどんなに多く、数多くの取引を成立させてとしても、薄利になってしまいます。
そのような微妙な塩梅を機微にとらえつつ、最大限の利益が得られるようにスプレッドを変化させているというわけです。
また、仮想通貨の価格に大きな変動が起きている最中も、スプレッドが大きくなる傾向があります。
これは、仮想通貨の価格が大変動している間は、取引所への注文が殺到しがちなために、あえて取引を沈静化させるためにスプレッドを広くすることもあるようです。
ツール・アプリの使用感
ツール・アプリの視認性やそ操作感が、初心者にでも分かりやすいように単純・シンプルな設計になっているかどうかも重要です。
なぜならば、仮想通貨初心者は、最初のうちはどうしても信じられないようなミスを犯しがちだからです。非常に損をするような金額で大量購入したり売却するようなミスが起きにくいようにするため、慣れるまではシンプルなものを使いましょう。
いきなり海外取引所のアプリを使うミスすることもあるので、まずは国内取引所で取引することをおすすめいたします。
アフターケア・サポート
こちらの充実度も、仮想通貨投資に不安を持ちがちな初心者にはとても重要です。
ケアやサポートの方法も、直接電話での対応だったり、LINEでの対応だったりと取引所によってさまざまです。
また、対応時間も仮想通貨取引所によってバラバラであり、中には24間365日年中無休で対応してくれる取引所も存在します。
特に、仮想通貨そのものに不安を覚えている方は、スプレッド以上にこのケア・サポート面を重視して取引所を選ばれた方がよいかもしれません。
合法性
国内取引所の場合は、金融庁の厳しい監督・承認のもとで取引業務を行っているので、合法性について心配はありません。問題は海外の取引所を利用する場合です。
この場合、金融庁が定めた基準を満たしていない場合があり、最悪の場合には、海外仮想通貨取引所での資産を日本で使用できなくなる場合も無きにしもあらずです。
そのため、海外の取引所を利用される場合は、日本の金融庁が定める基準に合致しているかを確認するとともに、最悪の場合のリスクを想定しておく必要もあります。
おすすめの仮想通貨取引所3選
先ほど5つの観点等も踏まえて、人気のある仮想通貨取引所を3つほど厳選しましたので紹介します。
コインチェック
「ビットコンといえばコインチェック」のCMでお馴染みの国内最大規模の取引所です。
運営元はマネックス証券等も運営しているマネックスグループです。
コインチェックの特徴
とにかく、スマホ用取引アプリがシンプルで、初心者でも非常に使いやすいのが評判です。情報提供も迅速に行ってくれるので、重大な情報を見逃さずにすみます。大手なので、破産などのリスクが少ないという点は、非常に大きなメリットであり、これがコインチェックが選ばれる大きな理由の一つでしょう。
また、取り扱い銘柄数が多いのが魅力的です。取り扱い銘柄数が多いことで、新たなコインが欲しくなった時に、コインチェックで取引できる可能性が高いのです。
DMMビットコイン
ゲームや各種スポーツイベント事業に積極的な企業である「DMM・COM社」が運営する仮想通貨取引所です。
DMMビットコインの特徴
2022年現在、取引できる仮想通貨は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ライトコイン(LTC)、ステラ・ルーメン(XLM)などをはじめとして20種類以上のコインがあります。
しかし、365日24時間のラインでの各種サポートは、他では提供のないサービスで評判も良く、投資に不安を覚える初心者にとっては本当に心強い存在です。運営会社が安定した業績を出している会社であることも安心材料ですね。
Bit Flyer
日本ブロックチェーン協会の主幹事社である Bit Flyerが運営する取引所です。最近ではダウンタウンがCMで宣伝していることもあり、さらに知名度を積み上げています。
コインチェックと並んで有名な国内取引所と言えるでしょう。
Bit Flyerの特徴
特にビットコインに関してはその流通量が国内最大であり、スプレッドも小さめです。
また、買い物と連携した各種サービスも提供していますので、実用の面でも魅力があります。
BTCやETHの板取引などはわかりやすいものとなっており、おすすめできます。
仮想通貨の銘柄のおすすめの選び方
利用する仮想通貨取引所が決まったら、次はいよいよ銘柄選びになります。
銘柄選びの際は、次の4つを意識するといいでしょう。これら要件を満たす銘柄は、投資家からの人気も高くなり、やがては時価総額が大きくなる傾向があります。
時価総額を確認する
時価総額とは、その仮想通貨1枚当たりの価格と流通枚数との積であり、時価総額が大きいということは、それだけ仮想通貨界への及ぼす影響が大きく、注目度を必然的に集めやすいということになります。
相場の変動も比較的小さくなるので、暴落のリスクが小さいと考えることもできます。初心者は時価総額が大きい既に人気が高い銘柄を選択すると良いでしょう。
流動性で確認する
流動性が高いとは、いつでも仮想通貨を現金に変えることができるということです。現金ではないけど、現金に近い性質を有しているということですね。
流動性が低い仮想通貨を選んでしまうと、現金化したいときに現金化ができず、最悪の場合は、暴落後にやっと現金化が可能になるということもありますので注意が必要です。
一定程度の取引が板で行われている銘柄が安心ですね。
銘柄の信頼性を確認する
仮想通貨は近年のブームにあやかり、新種のものが多数出回るようになりました。
それらの中には、詐欺目的のような使われ方をしている仮想通貨もあるため、しっかりと見定めることが肝要です。
コインの購入前にそのコインの開発者の情報やロードマップなどは確認してから投資したいですね。
将来性を確認する
仮想通貨は既存のものでは解決しえない将来課題のために、誕生したといっても過言ではありません。
こうした将来課題と向き合っている仮想通貨は将来にわたっての躍進の可能性を秘めており、価値(=価格)も鰻登りに向上することが見込まれます。
今後に期待できるコインを自ら見極めて投資することで、うまくいけば1年で10倍になることもあります。
プロジェクトがしっかりしていて、将来の見通しがに期待できる場合は、多少時価総額が小さくても、投資しても良いでしょう。
人気の仮想通貨銘柄3選
先ほど4つの観点等も踏まえて、初心者が取引を始めるにあたっての、人気の仮想通貨の銘柄を3つほど厳選しましたので紹介します。
ビットコイン
初めて誕生した仮想通貨であり、仮想通貨全体に及ぼす影響は、他とは比べ物にならないくらい大きいです。
そのため、ビットコイン(BTC)については、仮想通貨界のボスとも呼ばれます。当然、時価総額が最も大きく、一番人気の高い銘柄と言えます。
ビットコインの特徴
時価総額が2位に圧倒的な差をつけての第1位であり、現金から仮想通貨に交換するほとんどの場合が、このビットコインを仲介して行われるので、ビットコインは仮想通貨界の基軸通貨的な役割を担っています。
そのためか、価格変動が激しい仮想通貨界ですが、その中では比較的安定した価格パフォーマンスを継続しています。他のコインは、BTCの相場の変動に大きく影響を受けるので、BTCの動向をチェックしておくことも大切です。
イーサリアム
イーサネット環境上(イーサプラットフォームなど)での使用がメインの仮想通貨であり、このイーサリアム(ETH)をもとにした新たな仮想通貨も毎年誕生しています。NFTなどに興味がある場合には、ETHについては理解をしておきましょう。ビットコインに次ぐ人気銘柄となります。
イーサリアムの特徴
イーサリアムは、開発系の仮想通貨であることが特徴です。
さまざまな新規のゲーム用仮想通貨の母体となる仮想通貨であり、こうしたゲーム界の成長に伴って、イーサリアムの価値はさらに向上するものと予想されます。
特に、ブロックチェーンゲームという新しい概念のゲームは今後爆発的な成長が見込まれることとから、イーサリアムにとってはこの上ない追い風です。
アイオーエスティー
アイオーエスティー(IOST)は、時価総額こそビットコインやイーサリアムに遠く及ばないものの、これらの仮想通貨では解決できない問題を解決できる可能性を秘めており、将来を嘱望された仮想通貨です。仮想通貨(暗号資産)への投資経験がある程度ある人から支持されて人気となりました。
このアルトコインの名前を聞いたことがある人は多いでしょう。
アイオーエスティーの特徴
アイオーエスティーは、仮想通貨のスケーラビリティ問題の解決を期待されています。
これは、将来、使用頻度や利用人数が多くなってしまった場合に、ビットコインやイーサリアムで起こり得るであろう混雑や遅延、システムのバクなどにも有効に対処できるということです。
もしかしたら、数年後にはビットコインやイーサリアムにとって代わっているかもしれないと期待が持てる頼もしい仮想通貨です。
草コインと言われる銘柄に投資するのも1つの方法
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、リップル(XRP)やアバランチ(AVAX)のような大型の人気銘柄に投資するのも良いですが、投資元本の一部を草コインという比較的時価総額が小さめの銘柄に投資して、その草コインが人気になったときに大きなリターンを狙うこともできます。
時価総額いくら以下なら草コインなのかという基準はないですが、アイオーエスティー(IOST)くらいまでの時価総額なら草コインと表現する人も多いですね。
どんな草コインに人気があるのか、おすすめの草コイン銘柄を調べてみても良いでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。人気の取引所や銘柄を確認していただいたことで、お気に入りの銘柄や仮想通貨取引所の、おおよその目星をつけられたのではないかと存じます。取引所に関しては、まずはコインチェック、DMMビットコイン、GMOコインなどの大手を選択すると良いでしょう。
銘柄選びは、時価総額や将来性を見据えて選択したいところです。上記で複数のコインを紹介しましたが、BTCやETHにまずはメインで投資してみて、後は自分で調べた将来に期待できるコインに投資していくという戦略がリスクコントロールの意味からも合理的だと言えるでしょう。
この他にもいろいろな銘柄や取扱所があるので自分にあった銘柄や取扱所をお選びください。