FCRコインはJ2リーグに所属している沖縄県のプロサッカークラブ「FC琉球」が発行している仮想通貨(暗号資産)です。
FC琉球コインとも呼ばれます。J1のサッカークラブのように大手スポンサーがつきにくいクラブが、新たな資金調達の方法としても有効であり、FCRコインの仕組みは、アジアサッカー全体の底上げにもつながると考えられています。
日本国内のプロサッカークラブとして初めて仮想通貨を発行したと注目されて、2022年5月18日には仮想通貨取引所「GMOコイン」に上場しています。
今回はFCRコインとは何か、FCRコインの歴史、FCRコインの特徴について詳しく解説します。
FCRコインとは?
FCRコインはFC琉球のファントークンとしてIEOがおこなわれ、2022年5月18日、日本の大手仮想通貨取引所「GMOコイン」に上場した、日本発の仮想通貨です。イーサリアムブロックチェーン上のERC20という規格で作成されている仮想通貨(暗号資産)です。
FC琉球のグループ企業が2022年5月20日にリリースした独自プラットフォームサービス「FC RYUKYU SOCIO」でブロックチェーン技術によって発行されています。
ファントークンとはスポーツチームなどを応援するために使われるトークンのことを指します。ファントークンは、取得することで、特別な特典を付与されるユーティリティトークンです。
IEOとは「Initial Exchange Offering」の略で、仮想通貨取引所を介する資金調達のことです。仮想通貨業界ではIEOが出てくるまで、ICO(Initial Coin Offering)というトークンの販売方法が主流でした。
ICOでは資金調達を主催する団体がネット上にてプロジェクトを発表し、賛同する投資家を集めて、発行するトークンを仮想通貨で購入してもらうかたちとなります。
ICOは多くのプロジェクトで使われたものの、信用できないようなものも出てきてしまい、詐欺と思われる事件まで起きましたので、投資家はICOから遠ざかっていきました。しかし、IEOの場合、プロジェクトは仮想通貨取引所の審査を通過して初めて、取引所で販売されるシステムとなっています。
FC琉球はFCRコインのIEOにより、約10億円もの資金調達に成功しました。仮想通貨取引所の審査が間に入ることで、IEOは信頼性が高いと評価されているのです。
FC琉球はFCRコイン発行によって集めた資金をクラブチームの運営資金やFC RYUKYU SOCIOの開発などに使用していくと公表しています。
FCRコインはFC琉球が提供するプラットフォーム上で利用できるようになっており、FC琉球はFCRコインを通してさまざまなサービスを提供することで、従来のサッカークラブとは違う、革新的なクラブ運営を目指しているのです。ファントークンを上手に利用して、FC琉球が成功するとなると、その手法を踏襲する他のクラブチームも出てくるでしょう。
ファンのためのコイン
FCRコインを一定以上保有すると、FC琉球のパートナーとして扱われます。
パートナーになるには最低でも50万FCRを保有する必要があるため、条件としてはなかなか高い壁であるものの、一ファンが好きなサッカークラブのパートナーとなる方法はこれまでなかったことです。
FCRコインの保有量が500万FCR以上になりますと、扱いがプラチナパートナーとなり、より良い特典を享受することができることになります。
パートナーになった企業や個人が受けられる特典は「公式ホームページへの掲載」「インタビューボードへのロゴ掲載」「主催試合に特別席を招待」「限定グッズがもらえる」「選手と交流できるイベントへの招待」などです。FC琉球のファンの人としては、これらの特典に関して、非常に大きなメリットだと感じるのではないでしょうか。
保有するだけでこれらの特典を受けられますので、FCRコインはまさにファンのためのコインといえるでしょう。
公式サイトや試合での紹介は、企業や団体にとっては広告効果も期待できます。
特典が期待したようなものでなければ、FCRコインを売却すればすぐにパートナーをやめれますので、非常に敷居が低いのもポイントです。
ガバナンス機能
FCRコインはクラブのパートナーとなるためだけでなく、ガバナンスの機能もあります。
ガバナンス機能があることで、FCRコインの保有量が多ければ、クラブの経営に対して自分の意見を言うことができるので、新しいサッカーの楽しみ方が増えるといえます。
ファンのなかにはクラブの経営に対して、多かれ少なかれ日頃から思うところもあることでしょう。
FCRコインを保有していることで今後、クラブの経営や選手に対して、自分の意見が反映されるようになっていきますので、ファンがFCRコインをもつメリットは大きいといえます。
NFTの配布
FCRコインは過去、IEOの記念に公式マスコットのNFTを無償で配布したことがあります。NFTは唯一無二であるため、配布した公式マスコットは限定品として非常に価値があり、将来的に高値がつくかもしれません。
今後またイベントなどでNFTを配布する可能性は考えられますので、楽しみにしているファンも多いでしょう。
購入方法
FCRコインは2022年12月時点でGMOコインでのみ取り扱っています。
そのため、まずはGMOコインに申し込みをして無料で口座開設を完了させて、日本円を入金したらFCRコインが購入できるようになります。口座開設は無料ですし、難しくなく、オンライン上ですぐにできるのでFC琉球の大ファンだという方は、少しは保有しておきたいですね。
FCRコインの歴史
FCRコインはIEOのときに1コインあたり約2.2円の価格がつき、IEO終了後、2022年5月18日にGMOコインへ上場した直後には2.6円を超える高値がつきました。
しかしそれも長くは続かず、すぐに売りが優勢となって価格が急降下したため、一気に0.5円近くまで下がってしまいました。
上場してからの価格の推移が他の仮想通貨と同じようにみえますが、FCRコインは状況が少し異なります。
GMOコインがFCRコインの取引量を変更したのです。GMOコインは当初、FCRコインの最大取引数量を100万FCRまでとしていましたが、その後に2000万FCRに変更しています。
この変更により、早く売ろうとする動きが投資家に広がったため、価格が急落しました。IEOセール時と比べて70%以上下落したことで、FCRコインの勢いは一時的に弱まっているといえるでしょう。
FCRコインの特徴は?詳しく解説
FCRコインにはどのような特徴があるのか、詳しく解説します。
パートナーになれる
FCRコインを500万FCR以上保有していると、クラブからトークンパートナーとして正式に認められます。
パートナーになると、クラブの主催試合のときに支援者として紹介されたり、クラブの公式ホームページやインタビューボードで支援者のロゴが掲載されたりするため、企業や団体の場合は宣伝効果も期待できます。
FCRコインがプレゼントできる
FCRコインを使って、自分の応援している選手やクラブに対して「投げ銭」のような使い方もできます。
トークンを利用することで、FCRコインで寄付できるのです。
「FC RYUKYU SOCIO」というFC琉球が開発した独自プラットフォームにトークンを送付する機能が実装されていますので、FCRコインを保有しているファンは、選手やクラブにいつでも気軽にコインを贈れます。
選手とのつながりは昔、ファンレターや試合での応援だけでしたが、それがインターネットの発達によってSNSなどでもつながれるようになりました。
今後はファントークンの登場により、これまでと違ったかたちでさらに、選手とのつながりが強くなっていくことでしょう。
ガバナンストークン
FCRコインにはガバナンストークンの機能も備わっています。
ガバナンストークンとはプロジェクト運営に議決権をもっているトークンのことです。
一ファンが経営に対して意思を示すことは基本できませんでした。しかしファントークンがガバナンス機能を有していることで、コイン保有者がクラブのプロジェクトの運営に意見を反映させることができるようになります。
FCRコインのプラットフォーム「FC RYUKYU SOCIO」では今後、クラブ運営に関する投票やグッズ選定などについて投票をおこなっていく予定です。
これからはファンがチームを応援する新たなかたちとして、ファントークンが使われていくことでしょう。
決済手段
FCRコインは今のところ、ファントークンとしての意味合いが強いですが、将来的には決済手段として利用するシステムを構築しようとしています。
FCRコインを使える店舗は、FC RYUKYU SOCIOの加盟店となる予定です。
実現すればFCRコインは地域通貨としての機能ももつことになり、FC琉球の本拠地である沖縄の活性化につながることが期待されます。
NFTの活用
FC琉球はFCRコインでNFTが購入できるようにすることを検討しています。
FC琉球が発行を考えているNFTは、試合での印象的なシーンや選手のすばらしいプレイなどを動画にしたものです。
サッカーに限らず、ファンは好きなチーム、選手に関するものをコレクションしたいという願望があります。
NFTが発行されれば、ファンの間で人気が高まり、FCRコインの価値も上がることでしょう。
価値の上昇を期待する人はFCRコインを今のうちに購入しておくと良いでしょう。
FCRコインの今後の予想
ここまでFCRコインとは何か、FCRコインの歴史、FCRコインの特徴について詳しく解説してきました。
まとめとして、FCRコインの今後の展望や仮想通貨としての今後の価格の予想について解説します。
価格上昇はあるか
FCRコインが価格上昇するかどうかはFC RYUKYU SOCIOの運用にかかっています。
FCRコインはGMOコインで取り扱い開始当初から比べると価格が下落していますが、これは投機筋の動向の影響が強く、FCRコインそのものに問題はありません。
価格の下落はファンが離れたわけではないので、FC琉球がこれからもファンのためのコインとしてさまざまなサービスを提供していくならば、FCRコインはいずれ価格が上昇に転じると予想できます。
実際に、チリーズ(CHZ)という仮想通貨などをはじめとして、仮想通貨とスポーツクラブの関連性は深まっておりますので、ファントークンという概念が一般的なものとなりそうですし、その中でも先行しているFCRコインには投資家が目を付け始めると考えられるので、今後の価格が上がるのではないでしょうか。
海外の動き
ファントークンは日本ではまだ珍しいものの、海外でのファントークンのマーケットは拡大し続けています。
海外でのファントークン取引開始は2020年ごろからで、世界的な人気のサッカーチームがあるヨーロッパでは数多くのファントークンが発行されています。
すでに時価総額ランキングにランクインするほどの人気となっているトークンもありますので、日本のマーケットでもファントークンの拡大が期待できそうです。
マーケットが大きくなれば、日本で初めてIEOで上場したFCRコインの価格も上がる可能性があります。
FC琉球の今後の動き
FC琉球はFCRコインのIEOで調達した資金の使い道として、クラブの運営やチーム力の強化に加えて、FC RYUKYU SOCIOを追加で開発、運用やマーケティングによるユーザーの拡大などを挙げています。
将来的にはFCRコインを沖縄県の地域通貨として利用できるようにしたり、トークンパートナーを国内だけでなく、アジア全体から募集できるような仕組みを構築したりするなど、さまざまな手段を考えています。
どれも実現すれば、FC RYUKYU SOCIOの利用用途が拡大することにつながり、FCRコインの利用機会が増えますので、FCRコインの価値は上がることでしょう。
期待値は高い
FCRコインはFC琉球を応援するためにつくられたコインで、FC琉球の独自プラットフォームであるFC RYUKYU SOCIOで利用できます。
FCRコインが他の仮想通貨と違うところは「ファンのためのトークン」であるということです。FCRコインも仮想通貨のひとつですので、投機筋や投資家の動向に左右される面は否めません。
しかしFC琉球が「ファンファースト」である限り、支持するファンは増え続けることでしょう。運営側の指標に基づいてFCRコインの保有者を評価し、そのアクティブ率が高ければ無償でFCRコインがもらえるというエアドロップの機能もあるので、ここに興味がある人もFCRコインを取得しようと考えられるので、価格にはプラスに働く可能性が高いでしょう。トークンの付与はFC琉球が試合で勝ったタイミングとか、選手がゴールを決めた時、リーグ優勝時など、ファンが楽しめるタイミングとなっています。こういった楽しさも、FCRコインの今後の価格にプラスにはたらくと予想できます。
日本国内のWeb3に対する動きは海外と比べるとまだまだ遅れています。
海外でのWeb3の活用はさらに拡大しており、スポーツも例外でなく、すでに巨大ビジネスとなってきています。
海外のプロスポーツチームのファントークンもファンを一番に考えているからこそ、ファンから支持され、大きなお金が動いているのです。
FCRコインの特徴はいろいろあるものの、最大の特徴は何よりも、ファンがチームを応援したいという気持ちによって成立しているということです。
FCRコインがある程度の結果を出せば、他のプロチームもファントークンに注目するため、ファントークンを発行する動きは日本でも増えていくと考えられます。
ガバナンストークンであるFCRコインは、保有することでFC琉球のプロジェクトにも意見でき、すでにさまざまな特典はあるものの、FC琉球は他の用途についても検討し続けています。
FCRトークンの価格は下がりましたが、ファントークンとしての価値が下がったわけではなく、ファンの支持によって成り立っているFCRコインはこれから価格を上げていくと予想できますので、将来性は高いといえるでしょう。
仮想通貨を保有することで好きなチームを応援するという、ファンの新しいかたちに対してさらに注目は集まっていくことでしょう。まずは少額でも良いので、FCRコインを持ってみるとおもしろいと思います。